2012 Fiscal Year Research-status Report
新規の致死性自己免疫性肝炎モデルを用いた肝炎劇症化に関わる腸内細菌免疫応答の解析
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23590973
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡部 則彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50419446)
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Keywords | 内科学 / 免疫学 / 劇症肝炎 / 自己免疫性肝炎 / 消化管免疫 / 肝臓病学 |
Research Abstract |
劇症肝炎マウスモデルを用いて、劇症肝炎の免疫学的病態形成機構の解析と新規治療法開発に向けた検討を行った。マウスモデルとして、新生児胸腺摘除を行うことで致死性の自己免疫性肝炎を発症するBALB/c系統のPD-1遺伝子欠損マウスを用いた。昨年度までの研究で、肝炎の劇症化は、細菌由来のToll様受容体リガンドなどにより誘導され、自然免疫系の活性化に関与するInterleukin(IL)-18によって惹起され、IL-18に依存した活性化T細胞のCXCR3発現エフェクター細胞への分化誘導と肝炎局所への移行が劇症化に必要であることを明らかにしている。本年度は、さらに、肝炎の病態誘導の場である脾臓において、IL-18を産生する主な細胞がT細胞活性化を担う樹状細胞であることを明らかにした。また、腸内細菌叢に起因するToll様受容体リガンドによるIL-18産生誘導を介した免疫応答が、肝炎の劇症化に関与している可能性を見いだした。さらに、劇症型自己免疫性肝炎に対する治療法を検証し、ステロイドが治療的に劇症肝炎の抑制に有効であること、ステロイド治療では肝炎の発症に関わる脾臓での胚中心を形成した濾胞と濾胞ヘルパーT細胞が遺残し、ステロイド治療中止にて劇症肝炎が再燃すること、ステロイド治療を行なったマウスの脾臓CD4+T細胞を免疫不全マウスに移入すると肝炎が誘導できること、ステロイド治療後に肝炎発症の誘導臓器である脾臓を摘出するとステロイドを中止しても劇症肝炎の再燃が抑制できること、そして、脾摘は単独でも治療的に肝炎抑制が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝炎劇症化に関わる腸内細菌免疫応答の解析のために、劇症肝炎モデルにおいて、劇症化に関与し、その病態機構に重要な免疫応答誘導サイトカインとその発現細胞の同定を行うことを目的として研究をすすめた。その結果、サイトカインとしてIL-18が病態形成に必須であり、その発現細胞が樹状細胞であること、樹状細胞によってT細胞活性化が生じる脾臓の重要性と治療的意義を見いだした。以上の結果から、当初予定していた研究はほぼ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き劇症肝炎モデルを用いて、その病態形成機構と腸内細菌に対する消化管免疫応答の関与の解明を目指した解析をすすめ、新たな治療法開発にむけた取り組みを行う。肝炎誘導T細胞の活性化、その活性化を誘導する免疫担当細胞との相互作用、肝炎局所への移行に重要であると考えられる分子やそのリガンドまたは受容体を同定し、それらに対する中和抗体をin vivoで投与し、ターゲットとなる分子の機能阻害が、その免疫応答過程と肝炎劇症化にどのように影響するのか、免疫学的、組織学的に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)