2012 Fiscal Year Research-status Report
異常Kupffer細胞におけるNASH発症に関連する因子の同定
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23590979
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小野 正文 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (70304681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 利治 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (60145125)
越智 経浩 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (30617840)
宗景 玄祐 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (60617843)
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Keywords | NASH / Kupffer細胞 / TLR2 / TLR4 / P.gingivalis |
Research Abstract |
本年度の研究成果としては、NASHの発症に伴いKupffer細胞の分画が変化することを明らかにした点である。すなわち、CD68陽性細胞の増加とともに貪食能が低下すること、さらにCD11b陽性細胞が貪食能を獲得するようになり、その数も増加、TNF-αなどの炎症性サイトカインの分泌増加を来すことでNASHの病態をより悪化する方向に進めていることが明らかになった(J Gastroenterol Hepatol. 2012; 27: 622-4, Hepatol Res 2012; 42(11): 1055-7, Hepatol Res 2012; 42(3): 273-279)。現在、NASHに至る過程において、Kupffer細胞のそれぞれの分画を取得するとともに、機能を規定する因子の解析を網羅的に行っている。 さらに、NASH発症機序における腸管からの細菌エンドトキシンやLPSの重要性について、近年、歯周病菌P.gingivalisがNASHの発症機序に関わっていることが明らかになっており、我々もNASH患者におけるP.gingivalisとの関連の重要性および実験動物におけるP.gingivalisの発症における役割について報告してきた(BMC Gastroenterlogy 2012; 12:16)。P.gingivalis誘発NASHマウス肝におけるKuppfer細胞でもCD68陽性細胞とCD11b陽性細胞の割合が増加することにより炎症性サイトカインの増加が生じること、それと同時に貪食能が低下することを見出した(未発表データー)。この結果は、これまで言われてきたエンドトキシン刺激によるNASH発症解明に大きく貢献する実験結果であると思われるため、今後も検討を続けていくことが重要と考えている。以上のように、研究助成により研究成果が上がっているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年から本年度にかけて多くの研究データーが出ており、その実験結果に関する数多くの論文発表と学会での報告が行われており、当初の通り計画は順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
NASHおよび正常肝におけるCD68陽性、CD11b陽性およびその両陰性Kupffer細胞をそれぞれ分離し、それぞれの細胞における炎症性サイトカイン分泌および貪食に関わる因子の遺伝子発現について網羅的解析を行い、遺伝子変化の特徴を捉えることによりNASHの病態におけるKupffer細胞の異常状態のメカニズム解明につなげて行く。 NASH発症におけるTLR4およびTLR2の発現増加、活性化は重要であると報告されている。しかし、これまでの我々の検討からは、NASH発症においてTLR4もTLR2もその発現は亢進しないことが明らかとなっている。ただ、活性化状態が起こっているのか、また活性化しているとしたら、どのような機序なのかは不明である。このため、活性化機序およびその細胞内シグナル伝達に関する因子の発現、活性化状態を明らかにすることを今後の研究の方策とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
正常マウスおよびMCD(メチオニンコリン欠乏食)誘発NASH、高脂肪食+ P.gingivalis誘発NASHモデルマウスを作製するための、マウス購入および飼料購入の費用として支出予定である。さらに、CD68陽性、CD11b陽性およびその両陰性Kupffer細胞をFACS およびMACSにて分離、採取を行う予定であるが、その費用として支出が必要となる。また、それら分離、採取した細胞の培養とともに、網羅的遺伝子解析および、その後の遺伝子解析に関わる費用として研究費を使用したいと考えている。
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Research Products
(25 results)