2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒト肝細胞キメラマウスを用いたB型肝炎ウイルス感染制御の試み
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23590982
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
菅内 文中 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20405161)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | B型肝炎 / 遺伝子変異 / 遺伝子型 / 複製モデル / ワクチン / 急性肝炎 / HBs抗原 / HBe抗原 |
Research Abstract |
急性B型肝炎患者(AHB)におけるHBワクチンエスケープミュータント(HBV-EM)の出現率について検討を行った。本邦において急性B型肝炎と診断された46例のうちHBs抗原陽性/HBs抗体陽性と診断された23症例をA群とし、このA群と年齢・性別をmatchさせたHBs抗原陽性/HBs抗体陰性23症例をB群とした。HBs抗原の共通抗原基a領域の変異について比較した。a領域に変異を認めたのはAHB患者全46例中7例(15%)であった。その7例のうち6例はA群に認められ、1例のみであったB群と比較して有意に高率であった。全7例の変異のうち、エスケープミュータントとしての報告がある変異は4例 (126S or N; 3例、145R;1例)であった。エスケープミュータント変異についてはB群では1例も認められなかったのに対して、A群では4例(17%)に認められ、有意に高率であった。次に、AHB46例の検討で一番多く検出されたHBV-EMであるI126S変異と代表的なHBV-EMとして知られているG145R変異株についてウイルス学的特徴を検討した。既存の1.24倍長 HBV/Ce wild cloneに対して、I126Sアミノ酸変異、G145Rアミノ酸変異、更にはI126S+G145Rアミノ酸変異を惹き起こすpoint mutationをそれぞれ挿入したHBV複製モデルを作成した。培養上清中のHBeAg、HBcrAg値については4種のクローン間で大きな差を認めなかったが、HBsAg値については145R変異を有する2種のクローンにおいて,他の2種類のクローンと比較して明らかに低値であった。ウイルス複製については、細胞中のSouthern blot analysis に、145R変異を有する2種類のクローンは他の2種類のクローンと比較して8割程度の複製効率を示す結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね交付申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」に沿った進行具合となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肝細胞に70%以上置換されたキメラマウスを利用して、in vivoにおいてin vitroと同様の検討を行う。作成した複数の1.24倍長のHBレプリコンをマウスに接種し、上清中のHBsAg、 HBeAg、 HBV DNAなどを定量的に測定する。さらに異なるgenotypeの共通エピトープに対するモノクローナル抗体およびその組み合わせの投与によりHBV感染阻止効果を検討する。ワクチンエスケープ変異株(C-145R)についても感染阻止効果の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vitroにおけるHBV複製モデル作成および複製効果、感染阻止効果を検討するための費用。ヒト肝細胞に70%以上置換されたキメラマウスを利用して、in vivoにおけるHBV複製効果、感染阻止効果を検討するための費用
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