2011 Fiscal Year Research-status Report
肝癌における細胞周期チェックポイント制御機構の破綻機序の解明
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23590997
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中尾 春壽 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60326139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 裕之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (20344335)
中出 幸臣 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70431400)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | p53 / 内在性遺伝子破壊 / 肝細胞 / AAV |
Research Abstract |
平成23年度は、ヒト細胞遺伝子ターゲッティング法を用いた内在性p53遺伝子破壊肝細胞株の樹立を主目的に研究した。まず、親肝細胞株を決定するためHepG2/C3A(HepG2)とHuH-6に対してp53 gene probeを用いたFISH解析を施行した。p53のcopy数は共に2だがrateはHepG2が90%、HuH-6が85%であったため、本研究にはHepG2を用いることとした。 次に、内在性の野生型(WT) TP53 alleleのExon2を欠失させるためにp53遺伝子破壊アデノ随伴ウイルスベクターを作成してHepG2に感染させ、G418を用いた薬剤選択によりp53遺伝子ノックアウト細胞のスクリーニングをした。その後に陽性細胞のモノクローン化をしてからCreリコンビナーゼを用いたネオマイシン耐性カセットの除去を施行した。この行程を2回施行することでHepG2の内在性p53遺伝子破壊を行った。 モノクローン化されたWT TP53 alleleをもつTageting陽性クローンから、3 cloneのheteroの内在性p53遺伝子破壊HepG2(p53+/-)を得ることができた。この3 cloneは半定量的に測定したrelative p53 mRNA/GAPDHにより親株の約50%の転写産物を産生することを確認した。 しかしながら、2回目の行程後にhomoにknockoutされたHepG2(p53-/-)のcloneは得られなかった。homo knockout化の際に得られるcloneは、すべてretargetになったと確認された。現在、homo knockout clone(p53-/-)のcloneを得るために再実験中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては、ヒト細胞遺伝子ターゲッティング法を用いた内在性p53遺伝子破壊肝細胞株の樹立は最も重要な研究のひとつである。この細胞株を樹立することで、多くの研究に応用可能で、多大な科学的な貢献が期待できるが、細胞の内在性遺伝子破壊は、技術的に難しい手技であることも知られている。当初は予定通りに研究が進んで、良い研究結果が得られており、heteroの内在性p53遺伝子破壊HepG2(p53+/-)を得ることができた。しかしながら、hetero cloneのすべてがre-targetingされたため、homoにknockoutされた内在性p53遺伝子破壊HepG2(p53-/-)は得られず、homoにknockoutされたcloneを得るための再実験が必要となったので、当初の予定よりはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今、進めているknockoutされた内在性p53遺伝子破壊HepG2(p53-/-)のための再実験を完遂させて、homoにknockoutされた内在性p53遺伝子破壊HepG2(p53-/-)を樹立し、親株とのpheno typeの違いを解析する。特に細胞周期関連分子とapoptosis関連分子に焦点をあてて解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
homoにknockoutされた内在性p53遺伝子破壊HepG2(p53-/-)の樹立が遅れたため、本年度中に施行する予定であった実験の一部を次年度に持ち越さざるをえなくなった。そのため、平成23年度の研究費の一部を平成24年度に繰り越すことになったが、目的のHepG2(p53-/-)株の樹立以降に本年度施行予定であった残りの実験と次年度施行予定の実験を次年度中にすべて施行する予定のため、繰り越しの研究費と次年度の研究費は、次年度中にともに使用する予定である。
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