2012 Fiscal Year Research-status Report
肝癌における細胞周期チェックポイント制御機構の破綻機序の解明
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23590997
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中尾 春壽 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60326139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 裕之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (20344335)
中出 幸臣 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70431400)
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Keywords | p53 / 内在性遺伝子破壊 / 肝細胞 |
Research Abstract |
平成23年度にヒト遺伝子ターゲッティング法を用いた内在性p53遺伝子破壊株の樹立を目的に内在性のTP53 alleleのExon2を欠失させ,heteroに内在性p53遺伝子破壊したHepG2細胞clone (p53 +/-) を3 clone得ることができた。しかしながら,この3 cloneをもとにヒト遺伝子ターゲッテイング法を繰り返しhome knockout clone (p53-/-)の作成を平成23年度から平成24年度にかけて何度も試みたがp53 -/-のcloneは全く得ることができなかった。 この結果から,我々はHepG2細胞においてp53遺伝子は生存に必須な遺伝子ではないかという仮説を立て,平成24年度は,その検証を中心に研究をおこなった。 siRNA法を用いてp53遺伝子のknockdownを行うため,まず野生型HepG2を用いてp53shRNAのtransfectionによるp53 knockdown効率を確認した。p53shRNAを野生型HepG2細胞にtransfectionするとnegative controlであるshRNA-GFPに比して有意にp53の発現がknockdownされることをSYBR Green法を用いて確認した。 次に内在性p53遺伝子をheteroに破壊した複数のHepG2p53+/- cloneにshRNAをtransfectionしてp53遺伝子のHepG2細胞における詳細な影響を検討したが,野生株に比してHepG2p53+/- cloneの反応は極めてdelicateなため,安定した結果を得るための条件設定が必要であり、現在も検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては、ヒト細胞遺伝子ターゲッティング法を用いた内在性p53遺伝子破壊肝細胞株の樹立が最も重要である。この細胞株を樹立することで、多くの研究に応用することが可能であり、癌研究において多くの科学的貢献が期待しうるが、ヒト細胞の内在性遺伝子破壊は技術的に難しい手技であることも知られている。しかし、我々は本手技に習熟し経験も豊富な共同研究者を有しており、多くの反復実験の結果からheteroの内在性p53遺伝子破壊HepG2 p53+/- cloneを得た後にhomeの内在性p53遺伝子破壊HepG2 p53-/- cloneが得られない原因は、技術的な問題ではなくHepG2細胞におけるp53の機能に原因があると仮説し、その検証を試みることとした。そのため、本来の計画とは異なる研究に取り組む必要が生じたため、当初の計画よりもやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
内在性p53遺伝子をheteroに破壊したHepG2p53+/- cloneにおいてsiRNAによるp53のknockdownを行うことによりHepG2細胞の生存におけるp53遺伝子の意義を解明し、p53遺伝子の抑制により他の遺伝子の発現にどのような影響が出現するかを細胞周期およびアポトーシス関連遺伝子に関して検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在検討中のsiRNAによるHepG2p53+/- cloneのp53 knockdownに対する最適条件を確定させ、HepG2p53+/- cloneとsiRNAによりp53遺伝子発現を限りなく抑制したcloneおよび野生型HepG2細胞の細胞周期およびアポトーシス関連遺伝子遺伝子発現をDNA arrayを用いて解析し、p53の細胞周期チェックポイント制御機構の破綻機序を解明する予定である。
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