2011 Fiscal Year Research-status Report
肥満関連液性因子ANGPTL2を介した、脂肪肝炎・肝臓癌の病態機序の解明
Project/Area Number |
23591001
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
冨田 謙吾 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (50317129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 修司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (80531392)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 |
Research Abstract |
我々は既に、Angptl2 ノックアウトマウスを作成した。これらのノックアウトマウス・wild マウスに、メチオニン・コリン欠損食、コリン欠損食投与を、各群が同一カロリーを摂取するように12週間施行し非アルコール性脂肪肝炎モデルを作成した。また、我々は既にマウス肝臓に非アルコール性脂肪肝炎を発症させる高脂肪食を調整しているため、同食餌に関しても各群が同一カロリーを摂取するよう24週間投与を施行し非アルコール性脂肪肝炎モデルを作成した。その後、各群のマウスの肝臓、内臓脂肪、皮下脂肪、骨格筋、血清を採取し、脂肪肝・肝障害・肝臓線維化の差異を、組織学的・血清学的に評価検討中である。また、各群の肝臓より、RNA、タンパク質を抽出し、Real time PCR法及びWestern blot法を用いて肝細胞障害、肝炎、肝臓線維化の各種マーカー遺伝子につき解析施行中である。さらにReal time PCR法、Western blot法、免疫沈降法、Gel shift assay法を用い、Akt、MAPK、AMPキナーゼ、PPAR signal、サイトカインを初めとした各種パラメーター及び、転写因子の変化を定量的に評価検討中である。また、各グループ内で、病態形成に有意義と考えられる遺伝子産物のピックアップをおこなうため、肝臓RNA・タンパク質、血清タンパク質に関してDNAマイクロアレイ法およびprotein chip法の条件検討を施行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年後は予定通り、Angptl2 ノックアウトマウスを用いた非アルコール性脂肪肝炎モデルを既に作成し、その各種解析を現在施行中であり、おおむね順調に進展しているものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、Angptl2ノックアウトマウス・wildマウスに、CCL4 4週間投与、 DMN 12週間投与、Bile duct ligation施行により各々肝硬変モデルを作成し、肝臓の線維化の程度を、各マウス間で比較検討する。また、同マウスを用いて、Diethylnitrosamine 6週間投与、または コリン欠損食+ethionine 9カ月投与による、肝臓癌モデルを作成し、腫瘍形成における各マウス間の差異を比較検討する。またさらに、同マウスに対して部分肝切除実験を行い、残存肝の肝再生能、肝障害の程度を、組織学的・血清学的に、経時的な比較検討を行う。さらにマウスより分離した、初代培養肝細胞・Kupffer細胞・肝星細胞・類洞内皮細胞に対し、マウスAngptl2タンパク質を投与することにより、Angptl2の肝臓各構成細胞に対する直接作用を検討する。シグナルの変動をDNA array法により検討し、各in vivo実験モデルでのシグナルの変化との相関を解析することにより、各病態機序に及ぼすAngptl2の役割を明らかとする。その際Angptl2下流のシグナル伝達のメカニズムの解明、Angptl2発現制御因子の解析を試みる。併せて、防衛医科大学校病院の単純性脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎患者、肝臓癌患者における血清Angptl2濃度の測定、Angptl2遺伝子のSNP解析を施行する。肝生検によって得られた組織よりRNAを回収し、各種マーカー遺伝子の発現量を検討するとともに、免疫組織学的検討もおこなう。上記の動物実験で得られた知見とヒト病態との相関の検討をおこなう。以上の検討により、非アルコール性脂肪肝炎発症・進展と発癌病態機序におけるAngptl2の果たす役割を解明し、新たな治療法の開発につなげることを目的として今後の研究を推進させる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、今年度の研究費を用いて、まず今年度継続中の解析を継続・終了させる。今年度作成したAngptl2ノックアウトマウス及びwildマウスを用いた非アルコール性脂肪肝炎モデル各群の肝臓より抽出したRNA、タンパク質を用いて、肝細胞障害、肝炎、肝臓線維化の各種マーカー遺伝子変動についての解析を継続・終了させる。さらにReal time PCR法、Western blot法、免疫沈降法、Gel shift assay法を用いた、Akt、MAPK、AMPキナーゼ、PPAR signal、サイトカインを初めとした各種パラメーター及び、転写因子の変化の解析も継続・終了させる。また、各グループ内で、病態形成に有意義と考えられる遺伝子産物のピックアップをおこなうため、肝臓RNA・タンパク質、血清タンパク質に関してDNAマイクロアレイ法およびprotein chip法を継続・施行する。さらに次年度の研究費を用いて、Angptl2ノックアウトマウス・wildマウスに、CCL4 4週間投与、 DMN 12週間投与、Bile duct ligation施行により各々肝硬変モデルを作成し、肝臓の線維化の程度を、各マウス間で比較検討する。また、同マウスを用いて、Diethylnitrosamine 6週間投与、または コリン欠損食+ethionine 9カ月投与による、肝臓癌モデルを作成し、腫瘍形成における各マウス間の差異を比較検討する。またさらに、同マウスに対して部分肝切除実験を行い、残存肝の肝再生能、肝障害の程度を、組織学的・血清学的に、経時的な比較検討を行う。さらにマウスより分離した、初代培養肝細胞・Kupffer細胞・肝星細胞・類洞内皮細胞に対し、マウスAngptl2タンパク質を投与することにより、Angptl2の肝臓各構成細胞に対する直接作用を検討する。
|