2011 Fiscal Year Research-status Report
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23591002
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構 下志津病院(臨床研究部) |
Principal Investigator |
富澤 稔 独立行政法人国立病院機構下志津病院(臨床研究部), その他部局等, 室員 (90334193)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 肝細胞 / 肝前駆細胞 / 転写因子 / 増殖因子 / リアルタイム定量PCR |
Research Abstract |
今回の研究ではすべて培養開始8日で解析を行った。ヒトiPS細胞の培地に各種増殖因子を添加してRNAを抽出しRT-PCRを行った。Oncostatin M(OncoM), epidermal growth factor(EGF), retinoic acid(RA)はSox17, GATA6の発現を亢進させるがFoxA2(F), GATA4(G), CEBPA(A), HEX(H)の発現は亢進しなかった。そこでFoxA2, GATA4, CEBPA, HEXの発現プラスミドを導入し、OncoM, EGF, RAを添加したところ、AFPの発現が亢進した。さらにdexamethasone, insulin-transferrin-selenium(ITS)を添加するとindocyanine green(ICG)の取込みがみられれた。ICGは肝細胞に特異的に取り込まれ、G-GTPの発現はみられるがアルブミンの発現はみられないので肝前駆細胞に相当する細胞に分化しつつあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞は発生の段階で複雑な分化を経るので段階的に転写因子の導入、増殖因子の添加を行うstep-wise protocolのみが報告されている。今回の検討では転子因子の導入と増殖因子の添加を同時に一回のみ行うsingle step protoclを試みた。step-wise protocolでは30日以上を要するが今回のsingle step protocolではわずか8日で肝前駆細胞への分化誘導に成功した。しかし肝細胞への分化には成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの方法ではiPS細胞から肝前駆細胞への分化に成功したが肝細胞への分化には至っていない。その原因として今回導入した転写因子以外に不足しているものが存在する可能性がある。そこでcDNAマイクロアレイを用いてiPS細胞と肝細胞での遺伝子発現の差異を解析し、iPS細胞で発現がみられず肝細胞で発現している転写因子を明らかにする。細胞内刺激伝達系に関与する遺伝子群も着目する。細胞内刺激伝達系の上流、すなわち増殖因子の解明が期待される。不足する転写因子を導入、増殖因子を添加することを試みる。さらに発現が低下している細胞内刺激伝達系には阻害剤を添加する。以上によりiPS細胞から肝細胞への分化誘導法の開発を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
cDNAマイクロアレイ、分子生物学試薬、細胞培養試薬に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)