2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス肝炎持続感染モデルを用いた革新的治療ワクチンの開発
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23591004
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
木村 公則 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (70397339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永木 正仁 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30293559)
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Keywords | HCV / ワクチン |
Research Abstract |
申請者は最近C型肝炎ウイルス(HCV)持続発現マウスモデルを作製し、慢性肝炎、肝線維化を経て肝細胞癌を生じることを見いだした。HCVはRNAウイルスでフラビウイルスに属し全長約9500bpで、慢性持続感染を生じることが特徴である。HCVはヒトとチンパンジーにしか感染せず、持続感染のメカニズム等解析するためにマウスなどの小動物感染モデルの樹立が望まれていた。既に、HCV core transgenic (Tg) マウスが作製され、HCV core蛋白質と発癌の関与が示されより、HCVと宿主との相互作用の詳細な解析が可能となった。しかし、このマウスモデルは誕生時より肝臓内にHCVcore蛋白を発現しており、ヒトのC型慢性肝炎のように成人特に免疫システムが確立されてからの感染ではないためHCVと宿主の免疫反応の解析をするうえでは不十分であった。我々が作製したマウスでは、HCV coreの発現がpoly-I.C.を3回投与後4日後に肝臓内でピークになり、それに伴って血清ALT値の上昇が認められる。これは、ヒトの急性肝炎と同様の経過であり、C型肝炎の肝細胞での発現から如何に宿主が抗原特異的な反応を誘導するか解明出来ることを示唆している。さらに、このマウスはHCV発現後90日後では慢性肝炎様の肝臓組織所見(肝細胞索の異常構造、肝細胞の脂肪化、門脈域のリンパ球浸潤)を認め360日後では肝細胞癌を生じた。このように、我々が作製したHCV Tg マウスは、ヒトのHCV感染と同様な経過をとることが確認された。またHCVの非構造領域を含んだ弱毒性ワクシニアウイルス株(rVV-N25)をマウスに投与することにより組織学的に慢性肝炎が改善することを認めた。rVV-N25投与後に肝臓内のマクロファージ特に、M2マクロファージが減少していることが判明し、新たなワクチンの作用機序を示した。
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Research Products
(2 results)