2011 Fiscal Year Research-status Report
膵星細胞による膵癌幹細胞stemness制御機構の解明とその治療応用
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23591008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正宗 淳 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90312579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 晋 東北大学, 大学病院, 医員 (20451560)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 膵臓癌 / 癌幹細胞 / 膵炎 / 膵線維化 |
Research Abstract |
平成23年度は、膵星細胞が癌幹細胞様形質に与える影響をin vitroおよびin vivoで評価した。膵星細胞株として、SV40 large T antigenおよびhTERTをレトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入して不死化したヒト膵星細胞株hPSC21-S/T細胞を用いた。(1) In vivoでの検討として、膵星細胞が腫瘍形成能に与える影響をヒト膵癌細胞株ASPC1単独あるいは膵星細胞株とともにICR nude mouse背部に皮下接種して評価した。(2) In vitroでの検討として、ヒト膵癌細胞株ASPC-1またはSUIT-2細胞の膵星細胞との共培養下でのspheroid形成能と癌幹細胞・膵progenitor細胞・ES細胞での高発現が報告されているABCG2、Nestin、LIN28のmRNA発現の変化をリアルタイムPCRにて評価することで行った。膵星細胞とともに接種した皮下腫瘍はASPC-1細胞単独での接種に比較して有意に腫瘍径の増大がみられた。膵星細胞との共培養により、膵癌細胞株ASPC-1細胞およびSUIT-2細胞のspheroid形成能は増加し、上皮間葉形質転換(epithelial-mesenchymal transition, EMT誘導性転写因子であるSnailの発現とABCG2、Nestin、LIN28の発現増加が確認された。膵星細胞はin vivo、in vitroでの癌幹細胞様形質を増強する因子であることが確認された。膵星細胞と癌細胞との相互作用は癌幹細胞特異的な治療標的となる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験系として必須である、不死化ヒト膵星細胞株を樹立した。また、in vitro、in vivoの双方において、膵星細胞が膵癌細胞における幹細胞様形質を増強することが、予想通り認められた。しかし、東日本大震災により、実験関連施設が損傷したため、その修復を待っての実験開始となったため、当初の計画に比べて、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災により実験開始が遅れたため、平成23年度で施行できなかった、in vitro共培養系におけるmicroRNAマイクロアレイを行うとともに、マイクロアレイでピックアップされたターゲットmicroRNAの機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していたmicroRNAマイクロアレイを次年度に塩基することにより生じたものであり、延期したマイクロアレイに必要な経費として平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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