2012 Fiscal Year Research-status Report
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23591012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川 茂幸 信州大学, 総合健康安全センター, 教授 (10177628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 正穂 信州大学, 医学部, 准教授 (50115333)
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Keywords | 自己免疫性膵炎 / IgG4 / 涙腺・唾液腺炎 |
Research Abstract |
自己免疫性膵炎と涙腺・唾液腺炎は代表的なIgG4関連疾患であり、両者の臨床像の特徴を合併例で検討した。対象は涙腺・唾液腺病変を合併しない自己免疫性膵炎47例(A群)と合併60例(B群)である。血液検査ではA群と比較してB群で活動性マーカーIgG、IgG4、可溶性IL2受容体、β2ミクログロブリンが有意に高値であり、後腹膜線維症、腎病変の合併も多く認めた。従って、自己免疫性膵炎において涙腺・唾液腺病変を合併例は活動性が高い状態であると推察された。涙腺・唾液腺病変合併に関連する遺伝子を検索する目的でgenome-wide association study: GWASを行い、自己免疫性膵炎例で涙腺・唾液腺病変非合併と合併の患者群間において、アリル頻度にp<0.0001で有意差を示すSNPsから、涙腺・唾液腺病変誘発に関わると思われる遺伝子KLF7, ABI3BP, SNCAIP, COL12A1, MATN2, SH3GL2, FLJ45537, MPPED2, NTRK3を選出した。これら遺伝子のうち、MANT2とMPPED2遺伝子について、GWASで使用されていない新たなSNPsを設定し、TaqManプローブを用いたタイピングを行った。両遺伝子内に設けたSNPsには、GWASで示されたようにp<0.01で相関を示すSNPが認められた。これらの遺伝子は合併に関与するつ考えられる。その他の遺伝子についても今後詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己免疫性膵炎は遺伝的要因と環境要因が背景に存在する多因子疾患である。本疾患の病態に関連する遺伝的要因解明の目的で、Affimetrix社製SNPチップ、GeneChip Human Mapping 500k Array Setを用いて、自己免疫性膵炎115検体の全ゲノム網羅的な相関解析(genome-wide association study: GWAS)を行った。コントロールのタイピングデータは健常人315例分をもちいた。IP とコントロール、IgG4高値群とコントロールとの相関解析で、p<0.0001の有意差を示す共通SNPを21種類認めた。これらのSNPsが位置する遺伝子は、KIRREL, MIST, HLA-DQB1, RIMBP2, MYO1E, GPR139, FAM33A, FCER2, ZNF536, C20orf4の10種類であった。この中で、機能的に興味深い3種類の遺伝子CLNK、PAX5、FCER2についてfine mapping を行った結果、CLNK遺伝子内に設けた新たなSNPとも相関を示した。候補遺伝子を同定し、これらの本疾患の発症に関連する遺伝的要因としての意義を検討する予定である。また、上記の如く自己免疫性膵炎の涙腺・唾液腺病変合併に関連する遺伝的要因についても検討を行ったところ、p<0.0001で有意差を示すSNPsから、涙腺・唾液腺病変誘発に関わると思われる遺伝子KLF7, ABI3BP, SNCAIP, COL12A1, MATN2, SH3GL2, FLJ45537, MPPED2, NTRK3が選出された。これら遺伝子のうち、MANT2とMPPED2遺伝子について、fine mapping を行ったところ、新たに設定したSNPsで相関が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
本疾患の病態に関連する遺伝的要因解明の目的で、2年間のGWAS 検討で明らかとなった自己免疫性膵炎発症に関連する候補遺伝子、涙腺・唾液腺炎合併に関連する候補遺伝子について、fine mapping が未確認の遺伝子について、遺伝子内に新たなSNPsを設定し相関解析を行い、GWASで得た結果を検証する予定である。また、これらの遺伝子が疾患発症に関わる意義を検討する予定である。更に、Illumina社製SNPチップのシステムを用いて、従来のAffimetrix社製SNPチップのデータと比較し、相関に関わる遺伝子の絞り込みを行う予定である。症例をさらに追加してGWAS 検討例を増やし、より客観的なデータとする。候補遺伝子についてfine mapping が未確認の遺伝子について、遺伝子内に新たなSNPsを設定し相関解析を行い、GWASで得た結果を検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GWAS検討に関しては、自己免疫性膵炎ならびに涙腺・唾液腺合併症例の症例数をさらに追加して、より客観的なデータを作成することが肝要である。本疾患は発生頻度が少なく、なかなか充分な症例を集積することには困難を伴うが、信州大学は世界的にも患者数が多く、さらに努力して症例数を追加する予定である。追加した症例について、GWASを行う為の予算措置が必要となる。また、候補遺伝子については全て解析したわけではないので,未確認のものについては fine mappingの為の、SNPs作成や解析用の費用が必要となり、次年度の研究費を使用予定である。また、当初計画で見込んだよりも安価に平成24年度の研究が完了したため、次年度使用額が生じた。
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[Journal Article] Clinical Features of a New Disease Concept, IgG4-related Thyroiditis.2013
Author(s)
Watanabe T, Maruyama M, Ito T, Fujinaga Y, Ozaki Y, Maruyama M, Kodama R, Muraki T, Hamano H, Arakura N, Kadoya M, Suzuki S, Komatsu M, Shimojo H, Notohara K, Uchida M, Kawa S.
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Journal Title
Scand J Rheumatol
Volume: 42
Pages: 325-30
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Risk factors for pancreatic stone formation in autoimmune pancreatitis over a long-term course.2012
Author(s)
Maruyama M, Arakura N, Ozaki Y, Watanabe T, Ito T, Yoneda S, Maruyama M, Muraki T, Hamano H, Matsumoto A, Kawa S.
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Journal Title
J Gastroenterol
Volume: 47
Pages: 553-60
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Long-term outcomes of autoimmune pancreatitis: a multicentre, international analysis.2012
Author(s)
Hart PA, Kamisawa T, Brugge WR, Chung JB, Culver EL, Czakó L, Frulloni L, Go VL, Gress TM, Kim MH, Kawa S
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Journal Title
Gut
Volume: on line
Pages: on line
DOI
Peer Reviewed
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