2011 Fiscal Year Research-status Report
化学療法により誘発されるEMT誘導因子の同定とその制御による膵がん治療法の開発
Project/Area Number |
23591016
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
島崎 猛夫 金沢医科大学, 医学部, 講師 (50377420)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 靖人 金沢医科大学, 付置研究所, 准教授 (20232275)
友杉 直久 金沢医科大学, 付置研究所, 教授 (80155580)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | GSK3β / 膵臓癌 |
Research Abstract |
本研究では,低濃度の化学療法が癌細胞の浸潤を促進するという従来考えられていなかった発想をもとに,その転移浸潤誘導因子を同定することを目的としている.また,GSK3b阻害剤により,これらの因子の発現や機能の制御による浸潤抑制と抗がん剤の増感効果を組み合わせる新しいがん治療ストラテジーの開発を目指している.さらに臨床試験により,実際に抗腫瘍効果・転移抑制効果について検討し,これらの結果,難治性癌である膵癌に対しての治療成績の向上を期待するものである.抗がん剤投与により誘導されるEMT誘導蛋白質の機能解析:膵癌細胞におけるEpithelial-Mesenchymal Transition (EMT;上皮間葉移行)が抗癌剤により起こることを分子細胞学的評価方法(ウエスタンブロット,免疫染色)により明らかにした.抗癌剤処理により膵癌細胞からEMT誘導因子が分泌され,その因子としていくつかのHeat shock 関連蛋白が関与していることを同定した.(特許申請準備中のため,詳細は記載できず).これらの研究成果は,化学療法による癌細胞の転移・浸潤を抑制する治療薬の開発につながる重要性を持つ.またこれらの研究成果を,実際の臨床に応用するために,臨床試験の準備として,GSK3b阻害剤作用をもつ市販の医薬品の基礎的なGSK3b阻害作用の程度についてウエスタンブロットを用いて基礎的な評価を行った.その結果,GSK3b阻害作用を持つ医薬品及び投与量を設定し,GSK3b阻害作用を持つ医薬品を併用した化学療法の第I/II相臨床試験を開始した.(UMIN000005095)現在のところ3例ではあるが,本臨床試験の有効性を示す結果が得られている.うち1例は,標準治療薬であるジェムザールに無効となった後に本臨床試験を開始したところ,再度腫瘍マーカーの低下を認め,明らかな抗腫瘍効果を認めた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)EMT誘導因子のリコンビナント蛋白に不純物が混じっていることが明らかとなり,試薬の再調達及び再実験を行っているため,当初想定した研究達成度よりはやや遅れている.しかし,平成24年度以降に開始する予定であったGSK3b阻害作用を有する医薬品を併用した化学療法の第I/II相臨床試験は既に開始できたため,最終的には予定通り研究を遂行できる見込みである.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,試薬の調達状況を改善し,残る課題について精力的に研究を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度で終了していない課題について,不純物の混じっていないリコンビナント蛋白の購入及びその試薬を使用した再実験のために使用する.また,平成24年度以降に予定していた患者血清を用いたプロテオーム解析を行う.
|
Research Products
(8 results)