2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591019
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
辻川 知之 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80273407)
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Keywords | クローン病 / 腸管狭窄 / 線維化マーカー |
Research Abstract |
クローン病は単に腸管炎症を起こすだけでなく、徐々に狭窄や瘻孔など腸管合併症を来す原因不明の疾患である。狭窄を生じた場合は腸管切除やバルーン拡張が行われるが、無効な場合は腸管切除が必要なため狭窄発症・手術を繰り返すと短腸症候群の恐れがある。また経過良好に思われても突然の腸閉塞などで発症する症例が多いため、症状が無い初期の線維化狭窄を発見するために小腸内視鏡検査やバリウムによる造影検査を繰り返す必要があった。本研究では内視鏡以外の血液サンプルなどを用い、線維化や狭窄を来しやすい患者群同定が可能か否か、また、線維化による狭窄が増悪しつつある状態か否かについて検討することが目的である。 まずスクリーニングのため小腸の線維化マーカーとして、肝線維化マーカーに準じ血清TGF-β、IV型コラーゲン、ヒアルロン酸を測定中であったが、クローン病の腸管炎症の影響が大きすぎることから十分な検体数測定に至っていない。また、狭窄部位から生検によるサンプル採取は同意が得られにくいことと、サンプルサイズが少ないため困難となっている。 基礎的検討にて免疫抑制剤(6-MP)による大腸筋線維芽細胞(MF)の増殖効果について検討したところ、1.6-MPは大腸MFの増殖、およびPDFG-BB刺激による増殖を抑制する。2.6-MPは無刺激の大腸MFではコラーゲン産生を誘導するが、TGF-β刺激下ではコラーゲン産生を抑制する結果が得られた。このため、線維化の予想は困難であるが、一旦狭窄を生じたクローン病患者に対してはバルーン拡張術後より免疫抑制剤を使用し、拡張効果の持続期間延長が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
狭窄を伴うクローン病患者は繰り返し拡張しているが、新規数が少なく、また同意が得られにくいことから、基礎的検討および、免疫抑制剤による効果検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
狭窄症例のみでは検体数が少ないため、クローン病患者全体に広げて検体採取を行い、可能ならば健常者とも比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
狭窄拡張を行うクローン病のみならず、免疫抑制剤の投与前後や投与の有無で線維化マーカーを測定し、比較検討する。
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