2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591019
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
辻川 知之 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80273407)
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Keywords | クローン病 / 狭窄 / 線維化マーカー |
Research Abstract |
クローン病の腸管狭窄は予後を左右する重要な合併症の一つである。しかし、通常は無症状のうち徐々に進行し、突然腸閉塞を来すため予測が難しく内視鏡でのみ観察可能である。また、治療は内視鏡液バルーン拡張や狭窄拡張術が行われるが、再発を来しやすいことが問題となっており、まして予防に関する知見はほとんどない。今回我々は、狭窄を来しやすい危険因子ならびに狭窄予防の可能性を探るため、まず繊維芽細胞を用いた基礎的検討と患者血清中の線維化マーカー測定をおこなった。基礎的検討では、線維化にはTGF-βの関与と6-MPによる線維化抑制の可能性が示唆されたため、線維化マーカーとしてクローン病患者さんから血清を採取し、線維化マーカーとして4型コラーゲン、ヒアルロン酸とTGF-βを測定し、さらにアザチオプリン/6-MP使用の有無と6-MPの体内での代謝産物である6-TGNの測定を行った。現在、測定中の検体も多く一部の結果に過ぎないが、狭窄を有する患者さんの一部にヒアルロン酸の高値がみられた。しかし、正常下限のデータも多く血清からのみでは狭窄の有無を判定することは困難と考えられた。4型コラーゲン値は一定の傾向を示さなかった。さらに、基礎実験で6-MPがコラーゲン産生を抑制する可能性が示唆されたため、6-MPの代謝産物である6-TGとの関連を検討したが、個人差が大きく一定の傾向が見られていない。ただし、全ての検体測定が終了しておらず。また、潰瘍性大腸炎患者の検体も採取しており、全ての検体を測定し検体結果を見て統計処理を行う予定である。線維化マーカーと実際の狭窄の生じやすさとの関連が明らかとなれば、クローン病の個別化治療への発展も可能と考えている。
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