2011 Fiscal Year Research-status Report
末梢血多核白血球Rhoキナーゼ測定:冠攣縮性狭心症の新たなバイオマーカーの開発
Project/Area Number |
23591026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安田 聡 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00431578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 宏明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00235681)
高橋 潤 東北大学, 大学病院, 助教 (00375081)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
【目的】末梢血多核白血球でのRhoキナーゼ活性測定が冠攣縮性狭心症の診断や病態評価に有用であるか 検討すること【対象・方法】安静時胸痛の精査目的で入院となった連続53例。冠動脈造影検査の前に血液採取を行った。アセチルコリン誘発試験の結果により、陽性群=冠攣縮(VSA)群33例、陰性群=対照群20例 の2群に分けて比較検討した。末梢血より多核白血球を抽出し、myosin binding subunit (MBS)リン酸化測定とし、Rhoキナーゼ活性の指標とした。なおMBSリン酸化はリン酸化スレオニン696MBSとMBSの比で表し,Positive ControlのMBSのリン酸化の値で補正した。【結果】Rhoキナーゼ活性(phosphorylated MBS/total MBS ratio)は、対照群: 0.95±0.22[SD]に比し、VSA群では1.33±0.37 と有意に高値であった(P<0.001)。VSA群では、Rhoキナーゼ活性と、高感度C反応蛋白、喫煙歴、冠危険因子の集族との間には有意な関係は認められなかった。 またVSA症例で臨床的に不安定ないし重症狭心症像を呈する15例では、安定狭心症像を呈する18例に比しRhoキナーゼ活性は高値であった。治療薬としてVSA全例でカルシウム拮抗薬が投与され3ヶ月後 23例でRhoキナーゼ活性を再検した。入院時1.42±0.39から3ヶ月後 1.07±0.35 (P=0.01)に低下し、その%変化と症状の改善との間には有意な相関が認められた。ROC解析では、冠攣縮性狭心症診断のカットオフ値はRhoキナーゼ活性1.18 であり、この時の感度は82%、特異度は90%であった。【結論】末梢血多核白血球でのRhoキナーゼ活性測定は、冠攣縮性狭心症の診断の非侵襲的なマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の結果の一部を今年度論文公表した:Kikuchi Y, Yasuda S, Aizawa K, Tsuburaya R, Ito Y, Takeda M, Nakayama M, Ito K, Takahashi J, Shimokawa H. Enhanced Rho-kinase activity in circulating neutrophils of patients with vasospastic angina: a possible biomarker for diagnosis and disease activity assessment. J Am Coll Cardiol. 2011;58:1231-7.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降は冠攣縮治療に対するRho-キナーゼ活性の変化と予後との関連性について検討する。近年、AED(自動対外式除細動器)を含めた心肺蘇生術の市民普及に伴い、院外心停止蘇生例も増えており、その原因として冠動脈攣縮の可能性が示唆される症例が少なからず認められるようになった。本研究では院外心停止蘇生例の末梢血多核白血球Rho-キナーゼ活性を測定し、ハイリスク群の評価となり得るかについても検討する。また昨年3月11日に発生した東日本大震災に伴い、治療薬の休薬・減量・変更を余儀なくされた症例の追加解析や、被災地域(沿岸部・内陸部)の比較によるストレスの影響についても検討する。たこつぼ心筋症、微小血管狭心症などの関連疾患における役割、冠動脈インターベンション時代になり注目されている薬物溶出性ステント植え込み後の血管機能異常における役割についても併せて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究経費の大部分は消耗品費(Rhoキナーゼ研究用試薬・他細胞実験薬品代等)に充てるとともに、研究の効率化のためにデータ集積装置を追加する。期間中研究費の適切な使用に努める。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Usefulness of Rho-kinase activity in circulating neutrophils for disease activity assessment of vasospastic angina.2011
Author(s)
9.Kikuchi Y, Aizawa K, Yasuda S, Tsuburaya R, Ito Y, Takeda M, Nakayama M, Ito K, Takahashi J, Shimokawa H.
Organizer
American Heart Association (AHA) Scientific Sessions
Place of Presentation
Chicago, USA
Year and Date
2011年11月27日~12月2日
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