2011 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化性冠動脈疾患における心外膜脂肪の意義に関する研究
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23591028
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
二藤部 丈司 山形大学, 医学部, その他 (30400542)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メタボリック症候群 / 動脈硬化 / 心外膜脂肪 / マルチスライスCT |
Research Abstract |
メタボリック症候群は心血管イベント発症に関与し、その病態は内臓脂肪から産生される種々のアディポカインがインスリン抵抗性、炎症、動脈硬化を引き起こすためと言われているが、その詳細は不明である。また、日本人における虚血性心疾患患者に占める肥満患者の割合は、欧米と比較して少なく、内臓脂肪分布に人種差が存在する可能性がある。よって、日本人おける虚血性心疾患に対する内臓脂肪の意義を検討することは重要である。今回、我々が注目した心外膜脂肪は解剖学的に冠動脈と接しているため、動脈硬化進展に直接的な影響を与えていると予測した。冠動脈バイパス術となった重症冠動脈疾患患者と非冠動脈疾患で開心術を行なった患者を対象に、マルチスライスCTを用いて、心外膜脂肪容積の算出し、患者背景・リスクファクター、心嚢液中のアディポネクチン濃度との関連、心外膜脂肪におけるアディポネクチン発現を免疫染色で評価した。BMI 25以上の肥満患者においては、心外膜脂肪容積に差はなかったが、BMI 25未満の非肥満症例においては、重症虚血性心疾患群で有意に心外膜脂肪容積が増加していた。また、心嚢液中のアディポネクチン濃度は心外膜容積と有意な負の相関がみられた(R=-0.312, p<0.05)。非肥満患者群において、多変量解析にて、心外膜脂肪量の増加が冠動脈病変有病に対する独立した危険因子であった(OR 6.56, p<0.05)。脂肪細胞の形態・質的変化を評価するために、脂肪組織をアディポネクチンで免疫染色を行ったところ、重症冠動脈疾患群で、心外膜脂肪細胞の面積は拡大し、かつ、アディポネクチン発現が低下していた。一方、皮下脂肪組織に2群間の差は認められなかった。以上の結果より、冠動脈の動脈硬化進展には、心外膜脂肪が関与し、その病態には増大した心外膜脂肪からのアディポネクチン分泌能低下が原因のひとつと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由;心外膜脂肪容積と患者背景の検討は十分できたが、脂肪組織におけるサイトカイン発現に関して、アディポネクチン、TNFα、IL-6を予定していたが、後者2つについては、蛋白量が不十分のため検討できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当院には64列CTが2台稼働し、専任放射線技師が2名在籍している。症例を増やしなながら、研究協力者3名と一緒に、心臓CTにおける脂肪容量算出、冠動脈狭窄・プラーク解析、以下のような脂肪組織における各種サイトカインの免疫染色、予後調査などを役割分担しながら研究を遂行していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度については、とくに冠動脈のプラーク性状やポジティブ・リモデリングの評価をあわせて行なっていく予定である。また、心血管イベント発症を追跡し、脂肪容積、プラーク性状、ポジティブリモデリングなどが、予後規定因子になるかどうかを検討していく。アディポネクチン、TNFα、インターロイキン-6のELISAキット、及び、抗体を購入し、血中の数値と脂肪組織における蛋白発現をさらに検討する。
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Research Products
(1 results)