2013 Fiscal Year Annual Research Report
体表面標準心電図による心内の三次元的再分極分布と不整脈リスクの評価
Project/Area Number |
23591032
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
和泉 大輔 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30529699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池主 雅臣 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40303151)
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Keywords | QT延長 / T波 / 不整脈 / 再分極 / 多形性心室頻拍 |
Research Abstract |
心室貫壁性の再分極不均性が、致死性不整脈の起因として報告されている。本課題では、体表面心電図により重症不整脈発症リスクを鑑別するため、多形性心室性頻拍を発症する不整脈モデル犬を用い再分極分布のマッピングを三次元的に行った。体表面心電図のT波頂点から終末点までの時間:Tpeと、心筋の三次元的な再分極不均一性との相関関係について検討した。 強い再分極不均一性を示す心臓では、肢誘導Tpeは左室全域の再分極不均一性と強い相関を認め(1-3)、胸部誘導Tpeは誘導近傍の再分極不均一性の総和を示唆していること(4,5)が以下の通り示された。 (1)再分極時間の延長に伴い再分極不均一性が増大する際には、心外膜側と内膜側に比べ心筋中層で、心基部に比べ心尖部で再分極時間の大きな延長を認めた。(2)左室局所の貫壁性再分極不均一性は、局所の心内膜-外膜間の双極心電図Tpeと強い1:1相関を認めた。(3)肢誘導Tpeは、左室局所の貫壁性再分極不均一性とは1:1相関せず、貫壁方向を含めた左室全域の再分極不均一性と強い1:1相関を認めた。 (4)胸部誘導Tpeは、誘導近傍の貫壁性再分極不均一性と強い正相関を認め、左室前壁~側壁、基部~心尖部の再分極分散の重回帰分析により良好に予測された。(5)胸部誘導Tpeは、誘導近傍の局所の貫壁性再分極不均一性よりも大きかった。 これらの研究成果は、体表面心電図のTpeの電気生理学的背景を解明し、重症不整脈の発症リスクの新たな鑑別法を示したものである。一方で、致死性心室性不整脈の発症には、心室の狭い局所領域における再分極不均一性が重要であることも考慮される。胸部誘導においては一定程度、局所の再分極不均一性を評価することが可能であることが本課題により示されたが、より鋭敏に不整脈発症リスクを鑑別するため、さらなる心電図指標や心電図記録法の検討の継続も必要である。
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