2012 Fiscal Year Research-status Report
心房細動の発生と維持におけるカルシウム動態の関与について
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23591038
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 典浩 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (10456709)
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Keywords | 心房細動 / 圧負荷 / カルシウム / カルモジュリン |
Research Abstract |
麻酔下にウサギ心臓を摘出した後、37℃のTyrode液を用いてLangendorff灌流を行った。続いて、心房伸展モデルをRavelliらの方法に準じて作成した。まず、肺静脈などにカニュレーションを行った。肺静脈に接合したチューブは心房内圧調節のための流出口とした。この流出口を上下に動かすことにより、任意の心房内圧に設定することが可能であった。他のチューブに接続した水柱計において心房内圧をモニターした。心房内圧は0-16 cm水柱の範囲内で変化させた。心房の電気生理学的な特性を観察するとともに、心房細動を高頻度のバースト刺激により誘発した。 心房内圧を負荷していない状態(0 cm水柱)では、高頻度バースト刺激により持続性の心房細動はみられなかった。心房内圧を上昇させると心房細動の誘発率が次第に増加した。平均12 cm水柱で、全例において心房細動が誘発可能となった。誘発された心房細動が自然停止しない場合は、一旦心房圧を0 cm水柱にまで低下させることにより、すみやかに心房細動は停止した。心房細動が停止した後、元の心房圧に復帰して実験を継続した。心房筋の有効不応期は、心房内圧の上昇に伴い、短縮した。 昨年度はギャップ結合の果たす役割についての実験を行った。本年度は、細胞内カルシウム動態に重要な役割を担っているカルモジュリン依存性蛋白キナーゼ(CaMKII)に関連した検討も行った。CaMKII阻害剤であるKN-93を使用した。KN-93は心房筋の有効不応期には影響しなかったが、心房細動の誘発率を有意に低下させた。この結果により、心房細動にはCaMKIIが関連していることが明らかとなった。また、細胞内カルシウム動態への介入は、心房細動治療に重要な役割を担うといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
持続する心房細動を誘発し光学マッピングで観察することにより、心房の膜電位及びカルシウム動態を観察する上で有用な情報を得られると考えられる。しかしながら現状においては、詳細な解析は施行できていない。このため、研究全体の進捗度としては、やや遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
持続する心房細動を誘発し、さらに心房筋の膜電位とともにカルシウム動態を光学マッピングで観察することは、心房細動のメカニズム解明のブレークスルーとなりうる。しかしながら、心房の収縮を抑制する薬物の存在下では、持続する心房細動の誘発が困難である。Blebbistatinなど新規の薬物を使用するとともに、心房細動を持続させるような薬物を併用することにより、持続性心房細動を光学マッピングで詳細に検討できるように対策していく予定である。 平行して、細胞内カルシウム動態に重要な役割を担っている細胞内メッセンジャーに関連した検討を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
心房筋の膜電位及びカルシウム動態を記録時においても、持続する心房細動を容易に誘発できれば、研究の遂行はスムーズになる。この実験系で得られた知見は、心房細動のメカニズムの解明におけるブレークスルーとなり得る。現状では、心房の収縮を抑制する薬物の存在下においては、持続する心房細動の誘発が困難である点を解決することを中心に実験を行う計画である。まず、この点について集中的に検討することにより、問題点を解決して行きたい。 さらに、細胞内カルシウム動態に重要な役割を担っている細胞内メッセンジャーに関しての検討に関しての研究も遂行予定である。Caイオンと密接な関連を持つことが知られている薬物(物質)での検討を予定している。具体的には、カルモジュリン依存性蛋白キナーゼ(CaMK)阻害剤やカルシウムキレート剤、カルモジュリン阻害剤などの影響を検討することとなる。
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Research Products
(1 results)