2013 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動の発生と維持におけるカルシウム動態の関与について
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23591038
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 典浩 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (10456709)
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Keywords | 心房細動 / 圧負荷 / カルシウム |
Research Abstract |
急性の心房拡大は、伸展刺激活性化チャネルや他の機械受容チャネルに作用し、有効不応期の短縮と伝導速度の低下をもたらす。このため興奮波長(不応期と伝導速度の積)は短くなり、多数のリエントリー回路が形成され、心房細動は誘発されやすくなり持続も容易となる。この過程でカルシウム動態の変化がどのような役割を果たすかについては未だ十分に解明されていない。本研究は、急性の心房拡大が心房細動基質の形成を促すメカニズムとしてのカルシウム動態の役割を明らかにすることを目的とした。 心房伸展モデルをRavelliらの方法に準じて作成した。肺静脈に接合したチューブは心房内圧調節のための流出口とし、この流出口を上下に動かすことにより、任意の心房内圧に設定することが可能であった。心房内圧を負荷していない状態では、高頻度バースト刺激により持続性の心房細動はみられなかった。心房内圧を上昇させると心房細動の誘発率が次第に増加した。心房筋の有効不応期は、心房内圧の上昇に伴い、短縮した。 ロティギャプタイド(ZP123)とカルベノキソロンを用いて実験を行うことによりギャップ結合の果たす役割を検討できた。また、伸展感受性チャネル阻害剤であるガドリニウムでの検討により、伸展感受性チャネルの関連する機序について明らかにできた。細胞内カルシウム動態に重要な役割を担っているカルモジュリン依存性蛋白キナーゼ(CaMKII)に関連した検討も行った。CaMKII阻害剤であるKN-93は、心房筋の有効不応期には影響しなかったが、心房細動の誘発率を有意に低下させた。この結果により、心房細動にはCaMKIIが関連していることが明らかとなった。このことは、細胞内カルシウム動態への介入は、心房細動治療に重要な戦略の一つであることを示している。
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Research Products
(3 results)