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2012 Fiscal Year Research-status Report

動脈硬化巣での原因歯周病菌の検出と同定による虚血性心疾患予防へのアプローチ

Research Project

Project/Area Number 23591051
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

副島 弘文  熊本大学, 保健センター, 准教授 (80332881)

Keywords歯周病 / 歯周病スコア / 歯周病菌抗体価 / 歯周病菌DNA
Research Abstract

歯科口腔外科にて腫瘍切除の際に顔面動脈が切除される。通常は廃棄される組織であるが、患者さんの同意を得て無菌的に収集し、すぐに凍結保存する。収集した顔面動脈を3つに分けて1つは文献より歯周病菌特有のプライマーを準備しPorphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Aggregatibacter actimomycetemitansといった歯周病菌のDNA検索を行った。もう1つは歯周病菌のmRNAの検索を行い動脈内の歯周病菌の有無について検討した。その結果、顔面動脈内に歯周病菌がいることが推定できた。そこで残りの組織を用いて免疫組織染色を行い動脈組織内の歯周病菌の同定を行った。しかしながら歯周病菌の染色は明確に断定できるデータを得ることはできなかった。歯周病菌に対する抗体を変えるなどの工夫が必要と思われる。
循環器内科入院中の虚血性心疾患患者さんで本研究に協力の得られた患者さんに歯科口腔外科において歯周病の有無および程度をPPRD(periodontal pentagon risk diagram by Renvert S, et al, J Clin Periodontal, 2003)のcode分類によりスコア化して評価した。また、歯周病菌のうちPorphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Aggregatibacter actimomycetemitansについてELISA法を用いて抗体価測定をおこなった。その結果、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧がPorphyromonas gingivalisの抗体価と有意な相関を示すことがわかった(Hypertension Research 2013 in press)。すなわち歯周病が動脈硬化に影響を及ぼし、血圧と相関してくると推定される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

23年度は歯科口腔外科での研究開始がやや遅れたため口腔内腫瘍の入院患者さんが予定よりも少なく、歯科口腔外科にて腫瘍切除の際に一緒に切除される顔面動脈の数も少なくPorphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Aggregatibacter actimomycetemitansといった歯周病菌のDNA検索および mRNAの検索も少なかったが、24年度は歯科口腔外科にご協力頂き対象症例を増していくことができた。その結果Aggregatibacter actimomycetemitansは検出されなかったが、Porphyromonas gingivalisおよびPrevotella intermediaはDNAもmRNAも検出できた。一定の傾向が見られ今後データを増して確認していくことにする。
顔面動脈組織を用いて免疫組織染色を行い動脈組織内の歯周病菌の同定を行ったが、歯周病菌の染色は明確に断定できるデータを得ることはできなかったため、歯周病菌に対する抗体を変えるなどの工夫が必要と思われる。
冠動脈形成術に際し、粥種は破綻し冠動脈プラーク内容物の一部はバルーンに付着しているとされている。冠動脈形成術を施行された患者さんからの使用済みバルーンを回収し、このバルーン付着物に歯周病菌の遺伝子が含まれていないかを検討する。バルーンの付着物を洗浄して回収し、polymerase chain reactionにより歯周病菌遺伝子の検出を試みるとしていたが、これはまだ結論が出せるほどデータが集まっていないため、25年度も継続して行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

組織染色による歯周病菌の検出が難しいことが判明したため、Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Porphyromonas gingivalis, Prevotella intermediaといった歯周病菌を目的とする顔面動脈や歯周病巣の染色の検討は抗体を変えるなど工夫しないと困難であるが、DNAやmRNAについてはこれまで通り検討していく。
歯周病の程度と白血球の活性化の程度の関連性については、現時点ではっきりとした検出はできていないが、今後も検討を進めていく。白血球が活性化し、様々なサイトカインを放出するが、その中でも組織因子は血液凝固の開始因子である。心血管イベントの発症予測因子でもあるため、その血中レベルと歯周病の程度や顔面動脈からの歯周病菌の検出の有無、歯周病抗体価との関連性を検討する。
冠動脈プラーク内容物の一部は冠動脈形成術で用いるバルーンに付着しているとされている。このバルーン付着物に歯周病菌の遺伝子が含まれていないかを検討する。バルーンの付着物を洗浄して回収し、polymerase chain reactionにより歯周病菌遺伝子の検出を試みる。
循環器内科入院患者さんは循環器内科退院後は同科もしくはその関連病院循環器科外来にて経過観察される。このため心血管疾患の発症を捕捉することは容易である。このことをいかして、入院中の歯周病重症度、歯周病抗体価、白血球の活性化、歯周病巣の歯周病菌の分布、冠動脈形成術バルーンからの検出歯周病菌の結果などと心血管疾患発症との関連を調査していく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

顔面動脈でのPorphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Aggregatibacter actimomycetemitansといった歯周病菌のDNA検索およびmRNAの検索はこれまで通り継続して行っていく。このため組織採取・保存・ホモジナイズのための資材およびDNA・mRNAの抽出とreal time polymerase chain reactionのための資材が必要である。これは、バルーンの付着物を洗浄して回収し、歯周病菌遺伝子の検出を試みる際にも利用できる。免疫化学組織染色については現在使用中の抗体では歯周病菌の検出が難しいことが判明したため、歯周病菌に対する抗体を変更して行っていくが、そのための抗体を新たに購入する。さらに歯周病の進展に伴い活性化している白血球からのサイトカイン産生についても検討するためELISA kitを購入する。また、白血球はその他にも様々なサイトカインを放出していると思われるが、その中でも動脈硬化進展に関与していると思われるタンパク質をウエスタンブロティングにて確認する。そのための資材も必要である。また、24年度から引き続いて行っているデータを取りまとめていくつかの学会発表および論文発表を行っていく予定であり、旅費も必要 である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Level of serum antibody against a periodontal pathogen is associated with atherosclerosis and hypertension2013

    • Author(s)
      Hanaoka Y, Soejima H, Yasuda O, Nakayama H, Nagata M, Matsuo K, Shinohara M, Izumi Y, Ogawa H
    • Journal Title

      Hypertension Research

      Volume: 36 Pages: 829-833

    • DOI

      10.1038/hr.2013.46.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 全身の炎症反応は歯周病重症度と関連し、歯周病重症度は冠動脈病変の程度に関連している2012

    • Author(s)
      副島弘文、小川久雄
    • Organizer
      日本心臓病学会
    • Place of Presentation
      ANAクラウンプラザホテル金沢
    • Year and Date
      20120916-20120916

URL: 

Published: 2014-07-24  

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