2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591060
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬場 彰泰 北里大学, 付置研究所, 研究員 (60296572)
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Keywords | 拡張型心筋症 / 重症心不全 / アフェレシス / 免疫吸着療法 / 心筋自己抗体 |
Research Abstract |
平成24年12月に先進医療Bとして承認された心不全アフェレシス治療は、ICH-GCP準拠の臨床研究として平成26年3月末までに合計9症例(のべ17クール)が実施された。平成25年4月からは、本臨床研究は計3ヵ年(合計27症例)、厚労省科研費によって施行中である。これ以前の4ヶ月分および抗心筋自己抗体の基礎的研究は、本研究費によって負担され、最終年度(平成25年度)には以下の知見を得た。 本邦成人の標準体格では、1クール5回のアフェレシスにより標的自己抗体(心抑制性抗心筋自己抗体)が完全除去できた。一方、体重45㎏以下の患者では1クール3回でも治療十分である症例も存在することから、今後は小児例では1クール3回のアフェレシスが期待された。 1クール後の臨床効果は少なくとも3~6ヶ月は持続するものの、自己抗体再上昇例では心機能(左室駆出率)が治療前へ6~12ヶ月後には逆戻りしてしまう症例が存在した。再治療によって自己抗体が完全除去されれば、再び心機能および心不全は軽快した。 またアフェレシス治療前の複数の心筋自己抗体をELISA法にて測定し総合判定した場合には、特に左室下壁における壁運動が改善する症例を識別できることが判明した。 基礎的検討では、心不全症例において血中カルニチン濃度異常を示す症例では各種心筋自己抗体が高頻度に出現することが判明し、簡易バイオマーカーとなりうることが示唆された。さらに心筋細胞イオンチャネルKv1.4に対する自己抗体の検討では、自己抗体IgGを切断したFabおよびFc部を、抗ヒトIgG(Fab)抗体にて再構成することで陰性変力作業が復元された。すなわち、心不全アフェレシス治療の機序は、心筋自己抗原と結合するIgGのFc部位が心筋細胞に同時に接着することで生じる心抑制性作用を完全に消失させることであることが判明した。
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