2013 Fiscal Year Annual Research Report
Kv1.3移入線維芽細胞による不全心筋の活動電位再生と逆リモデリング誘導の研究
Project/Area Number |
23591061
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
庭野 慎一 北里大学, 医学部, 准教授 (70282978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庭野 裕恵 玉川大学, 教育学部, 教授 (00293233)
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Keywords | Kv1.3 / Kir2.1 / 電気的リモデリング / 構造的リモデリング / 心不全 / 不整脈 |
Research Abstract |
ラット心筋組織に移植するための線維芽細胞ラインを作成しイオンチャネルの発現状態を確認した。レトロウイルスベクターシステムとしてはpDON-5Neoを使用し、Kv1.3とKir2.1を移入するためのベクターを作成した。移植用の線維芽細胞株は、移植後の生着率を考慮し、2種類のオプションを用意した。一つはマウス線維芽細胞株(NIH-3T3)であり、もう一方はラット線維芽細胞株(NRK)である。心不全モデル動物への移植ステップにおいていずれの細胞株を用いるかは、生着率と電気生理学的変化の程度によって決定する。NIH-3T3とNRKに対するチャネルの発現は、RT-PCRおよびWestern blottingによりすでに確認したが、Kv1.3の発現量が極端に少なく、原因は今年度中には明らかに出来なかった。Kir2.1については、免疫染色によって細胞膜への分布を確認できた。Kv1.3移入線維芽細胞の移植については、正常Lewisラットをペントバルビタール麻酔下に左側側開胸し、露出した左心室表面に26G針で注入する方法を用いる。なお、Kv1.3移入細胞の移植による心不全や不整脈の治療効果を検証するためのモデルとしては、当初自己免疫性心筋炎ラットモデル(Lewisラット)を想定していたが、急性期に重度の心不全を来すために死亡率が高くなることを懸念し、イソプロテレノール短期・間欠的投与による心不全モデルに変更した。本モデルは、既報により、電気的リモデリングが主体で、構造的変化の少ない心不全が誘発されることが示されている。これまでに心不全、心筋線維化の発現とともに、局所の酸化ストレス増大(HEL染色)を確認し、また心筋活動電位の延長、不応期の延長を確認した。心筋へのKv1.3移入線維芽細胞の心不全および不整脈の治療効果は、今後の研究において移植部心筋の電気生理学的特性変化、不整脈誘発性、組織学的変化、ならびに心臓超音波による心機能評価等で検証する。
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