2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロRNAを標的とした心筋再生療法に関する研究
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23591070
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大谷 肇 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60168979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 真佳 関西医科大学, 医学部, 助教 (30548706)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 心筋再生 / マイクロRNA |
Research Abstract |
目的: 心筋再生療法として血管増殖因子やケモカインを用いた分子治療が進められてきたが、単一のタンパクや遺伝子を標的とした分子治療には限界がある。そこで我々は心筋において血管新生を統合的に抑制していることが知られているマイクロRNA (MiR)-92aのアンタゴミアを用いて心筋再生を試みた。方法: ラットの左冠動脈を結紮して心筋梗塞を作成し、梗塞巣にアンタゴミア92a含有生体吸収性ゼラチンハイドロゲルパッチ(Ant-92aパッチ)を逢着した。増殖細胞の指標としてBromodeoxyuridine (BrdU)を取り込んだCD31陽性内皮細胞、c-kit陽性心筋幹細胞およびα-actinin陽性心筋細胞数を測定し、血管新生と心筋再生の程度を評価した。心筋梗塞14日後に超音波心エコーによって心機能を評価し、マッソントリクロ―ム染色にて梗塞瘢痕組織の面積を測定した。結果:Ant-92aパッチはパッチ単独またはAnt-92aのスクランブルオリゴヌクレオチドを含有したパッチと比較して梗塞巣においてBrdUを取り込んだCD31陽性内皮細胞を著明に増加させた。それに伴い、BrdUを取り込んだc-kit陽性心筋幹細胞とα-actinin陽性心筋細胞の梗塞巣への集積が有意に増加した。その結果、Ant-92aパッチ群では梗塞瘢痕組織は有意に縮小し、左室機能は有意に改善した。結論: Ant-92aパッチは心筋梗塞後の血管新生を促し、心筋再生療法として有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋再生に関わるマイクロRNAを検索し、特にマイクロRNA92aに着目してそれに対するアンタゴミアを作成できたことは実験を遂行する上で大きな収穫であった。さらに、組織工学の手法を用いてアンタゴミア92aを含有したゼラチンハイドロゲルパッチを作成し、その効果を検討できたことは研究が予想通りに進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮細胞や線維芽細胞を用いたin nitroの系で血管新生に関わるマイクロRNAを検索し、その結果とラットの心筋梗塞モデルでの研究成果を踏まえて大動物を用いた臨床前研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
血管内皮細胞と線維芽細胞の購入と培養、およびマイクロRNAのRT-PCRのための試薬や薬品を購入予定である。
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Research Products
(1 results)