2012 Fiscal Year Research-status Report
心不全における新たな病態制御機構の解明:セリンプロテアーゼDPP4の役割
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23591080
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂東 泰子(暮石泰子) 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60452190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室原 豊明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90299503)
平敷 安希博 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10418741)
成 憲武 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378228)
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Keywords | 糖尿病 / 心不全 / セリンプロテアーゼ |
Research Abstract |
全身組織に広く分布するDPP4分子は110KDa の膜蛋白であり、細胞外領域にセリンプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)酵素活性部位を有する。DPP4の発現は全身臓器に認められ、自検結果では、心臓におけるその発現は心臓毛細血管に局在することを我々は証明した。DPP4活性は、細胞膜上以外にも可溶性タンパク質として血液中にも存在しており、様々な種類の生理活性物質を分解することにより糖尿病、炎症、免疫機能など生体機能の調節に深く関わることが知られ、心血管系における作用については、血管新生促進サイトカインSDF1α分解制御に関わることが示唆されてきた(Cell Stem Cell 2009)。 [これまでの研究成果・準備状況] これらをうけて、申請者らは、糖尿病による心筋障害(糖尿病性心筋症)におけるDPP4の役割に着眼し解析を行った。糖尿病性心筋症の典型的病理組織変化である心筋線維化亢進と心筋毛細管新生低下にも、このDPP-4を介したケモカイン調節経路が関与していると仮説し、DPP4先天欠損ラットとその野生型ラットを糖尿病化し心機能や病理変化を解析したところ、糖尿病化した野生型ラットでは上記の典型的病理組織変化に加え毛細血管新生低下や心筋DPP4活性亢進を認め、糖尿病性心筋線維化亢進や心筋毛細血管密度低下は抑制され、心臓内の微小還流障害とそれに続発する心筋虚血が生じることを明らかにした。一方、DPP4欠損ラットでは糖尿病化によりこ れら変化を認めなかった。以上の成果を国際学術雑誌に報告した(Cirulation 2012,126, 1838)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23-24年度の成果によって、申請者らは、糖尿病による心筋障害(糖尿病性心筋症)におけるDPP4の役割に着眼し解析を行った。糖尿病性心筋症の病理組織変化におけるDPP-4を介したケモカイン調節経路を明らかにし、また心機能への影響も明らかにした。さらなる分子メカニズムに関する解析も完了し、学会及び国際学術雑誌への投稿を完了した(第75回日本循環器学会口述発表、ヨーロッパ心臓病学会総会口述発表、アメリカ心臓協会総会口述発表、Circulation誌2012年126巻1838頁)ため。また本成果は中日新聞、毎日新聞、日経新聞、インターネットニュースで掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
動物での前臨床試験の結果を、心不全患者に対して応用できるかどうかの可能性を追求する。また、DPP4欠損動物の非糖尿病モデルでは、通常急性心負荷後14日で観察される心機能低下を認めなかったのでこのメカニズムを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
セリンプロテアーゼDPP4活性が、糖尿病以外の心リモデリング(=組織傷害による心機能異常)にも影響するか否かを明らかにする新たな解析の一つとして、マウス圧負荷心肥大(TAC)モデルを作成し、DPP4分子の標的分子を質量分析により解析を行い 当該分子の、心機能への影響を評価する。この解析実施に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)