2011 Fiscal Year Research-status Report
致死性不整脈発生基質としての介在板リモデリングの検討
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23591081
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大草 知子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00294629)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不整脈 / 介在板 / ギャップ結合 |
Research Abstract |
不整脈は肥大心、虚血心、不全心をはじめとするあらゆる心疾患に高頻度に合併し、特に心房細動をはじめとする頻脈性不整脈が長時間持続すれば心不全を増悪させる。また、致死性心室性不整脈(心室頻拍症、心室細動)は、心臓突然死の原因としても重要な疾患である。不整脈の原因には、遺伝的因子や環境ストレスがあり、これにカテコラミン、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系、フリーラジカルなど心筋の構造や電気生理学的特性を修飾する因子が加わり、心筋に構造的・機能的(電気的)リモデリングという質的・量的な適応反応をきたすが、一方でこの変化は重要な不整脈の発生基盤となる。リモデリングのターゲットとなる不整脈基質として、介在板リモデリングと致死性不整脈の発生基盤の関連性を検討し、その治療法(薬)の確立を目指す。平成23年度は心不全モデル動物である心筋症ハムスターを用いて、心不全発現過程における、心筋細胞介在版のギャップ結合およびadhesion junctionの催不整脈性への関与につき明らかにした。また、ギャップ結合およびadhesion junctionリモデリングへのレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の関与も明らかにし、RAAS阻害薬のこれらのリモデリング改善効果、不整脈抑制効果について解明した。さらには、in vitro実験として、高頻度電気刺激負荷を加えたラット培養心筋細胞を用いて、頻脈刺激が介在板構成蛋白質におよぼす影響を解明しつつある。これらの研究実績は、不整脈のupstream治療に大いに貢献する結果と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivo, in vitroにわたる研究が遂行され、in vivo研究に関しては、研究結果報告を行うことができた。一方、in vitro研究では、現在進行中であり、期間内での最終報告が可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の方策に焦点をあてて研究を推進する1.病的心房・心室筋細胞での介在板構成蛋白質リモデリングの把握2.介在板リモデリングを制御する情報伝達系の解明と病態形成の関与の検討3.介在板リモデリング制御に関するRAA系阻害薬効果の検討本研究はin vivo(心肥大/心不全モデル動物)およびin vitro(培養心筋細胞)の実験系を用いて、心筋の介在板構成蛋白質(ギャップ結合およびadhesion junction)の質的・量的変化、構成蛋白質間の相互作用、それを調節する情報伝達系の解析、同時に電気生理学的特性の変化を解析する視点より、不整脈の発生・維持の基盤となる因子を分子生物学・生化学・生理学的に同時解明する新しいアプローチを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
目的;平成23年度で行ったin vivoおよびおin vitro心疾患モデルでのギャップ結合およびadhesion junctionリモデリングの検討結果、およびRAA系のギャップ結合およびadhesion junctionリモデリングにおよぼす影響の検討結果をもとに、これらのリモデリングを制御する薬剤の効果を検討する。対象;1)心肥大・心不全モデル動物であるUM-X7.1心筋症ハムスター、2)培養心房・心室筋細胞;高頻度電気刺激負荷、圧負荷、伸展負荷、RAA系薬物負荷をかける。検討項目;平成23年度と同様の測定項目を以下の薬剤投与下で検討する。アルドステロン拮抗薬、ACE阻害薬・ARB、ZP123(ギャップ結合に直接作用し、特に心房筋でのCx発現量を増加させると報告されている)平成23年度では、前実験として条件検討を中心におこなったin vitro実験であったため、平成24年度に予算の繰り越しが生じたが、平成24年度は得られた実験条件に基づき研究を行い、繰り越し予算を利用してデータ収集を行う。
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Research Products
(7 results)