2011 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアDNAの抗リモデリング効果の機序解明と新たな治療方法の確立
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23591084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井手 友美 九州大学, 大学病院, 講師 (90380625)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 心筋肥大 / 酸化ストレス / NFAT |
Research Abstract |
本研究の目的は、ミトコンドリアDNAの量的維持がミトコンドリア機能維持に重要であり、細胞の恒常性の維持につながることから、そのメカニズムを明らかにし、ミトコンドリアDNAを後天的に増加させる手段を確立することで新たな治療法の開発を目指すものである。平成23年度は、ミトコンドリアDNAコピー数を増加させる系の確立ならびにミトコンドリアDNAのストレス応答の解析を行った。結果として、Ca2+-calcineurine-NFAT1シグナルが、単離心筋細胞におけるアンジオテンシンIIまたはエンドセリン-1を用いた刺激によって亢進することを明らかにし、それらがミトコンドリア転写因子A (TFAM)によるミトコンドリアDNA増加により抑制されることを明らかにした。さらに、ミトコンドリアDNAの増加により、ミトコンドリア電子伝達系酵素の活性化が示され、アンジオテンシンIIによって惹起される心筋細胞の肥大応答についても、TFAMによるNFAT活性化が抑制されていることが明らかとなった。これらの反応は、ミトコンドリアから細胞質へのカルシウム流出の程度が変化していることが示唆された。さらに、一連のミトコンドリアDNA増加のための手段としてのTFAMは、ウイルス等によるものではなく、リコンビナントTFAMを用いており、その精製系を確立し、良好な細胞内移行を確認した。これらの成果は、米国心臓病学会をはじめとして学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に記載している内容に合致した研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究課題は、さらに細胞内制御の詳細を明らかにするために、異なったミトコンドリアDNA増加系を用いて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:750,000円(実験動物、試薬、抗体等 )旅 費:150,000円(成果発表・情報収集)その他:200,000円(動物飼育管理、標本作製等)
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Research Products
(4 results)