2012 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアDNAの抗リモデリング効果の機序解明と新たな治療方法の確立
Project/Area Number |
23591084
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井手 友美 九州大学, 大学病院, 講師 (90380625)
|
Keywords | ミトコンドリア / NFAT / ミトコンドリアDNA / 活性酵素 |
Research Abstract |
本課題の研究は、mtDNAを基軸とした細胞内ホメオスターシス維持のメカニズムを明らかにし、新たなパラダイムに基づくミトコンドリア由来のメタボリズム制御の理解を目指すことで、これまでにない新規の視点からの心不全治療の治療・予防法の開発を目指すことである。Transcriptional factor A (TFAM)またはmtDNAヘリカーゼであるTwinkleの過剰発現によりmtDNAコピー数が増加し、これらの因子がmtDNAのregulatorであることが知られている。 具体的には、我々は分子生物学的手法を用いてmtDNAを増加させることよって、心不全におけるミトコンドリアに起因するシグナル伝達とその制御を明らかにした。 平成24年度は、mtDNAを増やす手段として、TFAMをアデノウイルスを用いて増加させる方法と、リコンビナント蛋白を作成し、投与する方法について検証した。我々はこれらの両方が有用で、ともにmtDNAのコピー数を増加させることを明らかにした。またこれらの機能は、MTFAMl,d アデノウイルスによる遺伝子導入またはリコンビナント蛋白によって、mtDNAは2倍程度に増加するが、それによりアンジオテンシン刺激によるNFATの活性化が抑制された。また、エンドセリンおよびアンジオテンシンIIによるミトコンドリアのCa2+放出も抑制された。さらに、細胞内mtDNAの増加により、complex Iの阻害剤であるロテノンにより発生するスーパーオキシドを消去することが明らかとなり、ミトコンドリア内の酸化ストレス制御にmtDNAが役割を担っている可能性が示唆された。 また、Vivoで投与する手段として、リコンビナントTFAMは、静脈内投与により、心臓にとりこまれ、心臓でのmtDNAのコピー数を1.5倍程度に増加させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりの内容で平成23年および24年度は実績をあげることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、mtDNA増加効果が、心不全において普遍的である、あるいは特定の負荷に対して有効であるかを明らかにするために、すでに実施した心筋梗塞後モデルマウスに加えて、圧負荷モデルならびに容量負荷モデルを用いて解析を加える。さらに、心筋細胞だけでなく、心臓繊維芽細胞における神経体液性因子の負荷における応答を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:700,000円 旅費:200,000円 その他:200,000円
|
Research Products
(7 results)