2011 Fiscal Year Research-status Report
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23591089
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 道博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30264295)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルドステロン / 心筋細胞 |
Research Abstract |
アルドステロンは副腎にて合成されているが、各種体細胞、つまり心臓、血管、腎臓、脳でもごく僅かながら合成されていることが報告されている。我々はラットおよびヒトでの心筋細胞でアルドステロンの合成を見出しているが、本研究においては心臓アルドステロンの産生の有無について検討し、合成制御にかかわる因子に関して検討を行った。過去の研究成果を踏まえて高血糖を増幅因子として時間経過による変化,濃度変化による変化を中心に検討を続けたところ,高血糖刺激についての糖濃度変化に関しては5.5 mMによる培養を基準として,15mMでは変化がみられなかったが25mMによる刺激下においてアルドステロン合成酵素の発現に上昇がみられた。時相において2時間より上昇傾向を認めていき,4時間にピーク:1.80±0.25(n=18)倍を認めた.8,12,24時間という時相においてはいずれも有意差はみられなかったものの、時間経過とともに差も徐々に減弱する傾向がみられた。培養細胞のmedium中のaldosterone測定については,分泌されるアルドステロンはごく微量であるためにジクロロメタンによる濃縮を20-30倍行い計測した.4時間値にて高血糖群は低血糖群と比べて約1.25倍の分泌を認めた.しかしこの分泌は8時間値では差がみられなくなった.蛍光免疫染色による細胞内の同酵素の発光もコントロール培養細胞にて確認しえたが、高血糖による増幅などは確認しえなかった. またこの染色では,酵素の発現は一部のみの細胞で認められた。高血糖刺激においては4時間という比較的短い時相においてアルドステロン合成酵素の発現,分泌がみられ、アルドステロン合成を検討するin vitroの系を確立しえた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究結果より、アルドステロンの心筋における合成に関しては細胞レベルで証明できており、研究はおおむね期初の計画通りに進んでいる.また次年度の計画に関連する予備実験も含め順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はLangendorff摘出心灌流実験を用いて直接的なホルモン測定を計画している。 心筋組織を破砕してCYP11B2遺伝子の発現を検討し、粉砕抽出液および潅流液中のアルドステロン濃度を検討する。さらには、CYP11B2遺伝子および、その上流のCYP11B1,HSD3B2,CYP21A2遺伝子の発現も検討する。 また、心筋組織全体でのアルドステロン刺激におけるプロレニン、(プロ)レニン受容体の発現量も測定し、それ以外のRAA系の各コンポーネントであるAII、ACE、AT1受容体、ミネラロコルチコイド受容体、グルココルチコイド受容体、ACE,ACE2についても発現を検討する。それに加え、これまでの我々の検討でLngendorff摘出心灌流にて、アルドステロン短時間刺激が心筋虚血に保護的作用する可能性が示されており、その機序に関して、Langendorff摘出心からの組織を用いて、PCR法、Western blotting法、免疫染色などの手法を用いて検討を行いたい。培養細胞を用いた実験では、アルドステロンによる短期非ゲノム作用はミネラロコルチコイド受容体に依存せずNHE-PI3K-Aktの系を介していることが示されており、Langendorff摘出心灌流を用いたex vivoにおいても、同様の系を介しているか、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬(エプレレノン)、NHE阻害薬などの試薬を用いて検討する。また、一方昨年度に行った培養細胞の結果より、ごく微量ながらも高血糖刺激による心筋細胞のアルドステロンの合成,分泌の反応を確認しえたことから,心臓におけるアルドステロンの動態を生理的,病理学的な側面より深く究明していくため,今年度も引き続き検討を重ねていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はLangendorff摘出心灌流実験を用いた実験におけるCYP11B2 CYP11B1,HSD3B2,CYP21A2遺伝子の発現の検討のため、動物購入代・飼育費、定量的RT-PCRに必要な各種消耗品が必要となる。潅流液中のアルドステロン濃度の検討には、濃縮および測定に費用を計上する。さらに、心筋組織全体でのアルドステロン刺激におけるプロレニン、(プロ)レニン受容体の発現量、またそれ以外のRAA系の各コンポーネントであるAII、ACE、AT1受容体、ミネラロコルチコイド受容体、グルココルチコイド受容体、ACE,ACE2の発現検討のため、定量的RT-PCRおよびウエスタンブロッティングに必要な消耗品を購入する。また、昨年度に行った培養細胞の実験を引き続き発展させる必要があり、そのため初代心筋細胞培養のための消耗品、培養に必要な消耗品、定量的RT-PCRに必要な各種消耗品を購入する。
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Research Products
(1 results)