2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591089
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 道博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30264295)
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Keywords | アルドステロン / 鉱質コルチコイド受容体 / 虚血再灌流障害 / p38 MAPK |
Research Abstract |
アルドステロン(Aldo)は副腎のみならず心臓において微量ながら合成されている。しかし、これまでその実験系が十分に確立されておらず、今回、仔ラット培養心筋細胞における実験系の確立を試みた。その結果、高い糖濃度の短時間培養でCYP11B2遺伝子の発現が認められることが判明し、今後の研究に活用できると思われる。一方でAldoの作用に関する検討も進めた。これまでに仔ラット培養心筋細胞実験系において酸化ストレスに対してAldoが短期的に保護的に作用(非ゲノム作用)することを見出している。長期的にはAldoは細胞障害性に働き(ゲノム作用)、鉱質コルチコイド受容体(MR)阻害薬が有効であることも示した。本研究ではさらに心臓組織におけるAldoの短期的非ゲノム作用に関してLangendorff摘出心灌流実験を用いて検討した。虚血再灌流後左心室圧や心筋逸脱酵素濃度測定により評価した。その結果、Aldoの短時間刺激群は対照群と比較して有意に虚血再灌流後左室圧を改善し、クレアチンキナーゼ(CK)が有意に低下した。このことからAldoの短期作用は虚血再灌流後心筋障害に対して保護的であることが示唆された。本現象はAldoの心筋虚血に対する保護的効果、つまりプレコンディショニングとも言うべき効果であろう。また、この保護的作用はMR阻害薬には影響を受けないことも判明し、主に非ゲノム作用であると思われる。各種細胞内シグナル伝達系を検討した結果、p38 MAPKがAldo投与直後に一過性に活性化し、その後は心筋障害に伴い再活性化した。つまり二相性の活性化を示したが、p38 MAPK阻害薬による検討から最初のAldoによる活性化は心保護的に働いている可能性が高い。本研究により、心筋においてAldoは心筋虚血再灌流障害に対してMR非依存性にp38 MAPKを介して一過性に心筋保護的に働く可能性が示された。
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Research Products
(5 results)