2012 Fiscal Year Research-status Report
心筋障害ストレスに対する心筋保護機構:SOCSによる細胞内シグナル調節の視点から
Project/Area Number |
23591094
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
安川 秀雄 久留米大学, 医学部, 准教授 (60289361)
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Keywords | 心筋障害 / サイトカイン / Jak-STAT / SOCS3 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
虚血再潅流心筋障害 モデル、ドキソルビシン心筋障害モデルやリポポリサッカライド (LPS) 心筋障害モデルなどにおいて、心筋特異的SOCS3欠損マウス (SOCS3-CKO)の心筋障害が抑制されることを見いだした。野生型マウスでは、再潅流3時間後にSOCS3の発現を認め24時間後まで持続していた。SOCS3の発現と逆相関するようにSTAT3の活性化は抑制されていた。SOCS3-CKOマウスの心臓では再潅流後のSTAT3の活性化が遷延増強していた。SOCS3-CKOマウスの心臓では、TUNEL染色により評価した心筋アポトーシスが野生型マウスに比べ優位に抑制されていた。アポトーシス関連分子のなかで、Bcl2ファミリーのアポトーシス抑制遺伝子Mcl-1の発現亢進をSOCS3-CKOマウスにおいて認めた。SOCS3-CKOマウスにおいて虚血再潅流後の心筋障害が抑制される機序をさらに明らかにするためにマイクロアレイ解析を行った。その結果、細胞周期に関連する遺伝子群、炎症反応に関連する遺伝子群、さらには細胞外刺激に反応し創傷治癒に関連する遺伝子群が、野生型マウスと比較しSOCS3-CKOマウスにおいて異なって発現調節を受けていることが明らかとなった。細胞周期に関連する遺伝子群にはCcna2, Ccnb2, Cdc7, Cdc23, Cdca5, Cdkn3, Top2aなどが含まれ、炎症反応に関連する遺伝子群にはNfkb2, Relb, Il1b, Il6, Nfkbiaなどが含まれていた。細胞周期に関連する遺伝子の役割は不明であるが、SOCS3-CKOマウスにおいて虚血再潅流後の心筋障害が抑制される機序に炎症経路の活性化の変化が深く関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、心筋のSOCS3抑制による心筋保護のメカニズムを明らかにし、本機序に関わる遺伝子を同定することである。現在までに、虚血再潅流心筋障害、ドキソルビシン心筋障害やLPSによる心筋障害などのいずれのストレス下においてもSOCS3-CKOマウスの心筋障害が抑制されることを明らかにしている。これまでに、虚血再潅流心筋障害 モデル、ドキソルビシン心筋障害モデルにおけるマイクロアレイ解析を行い網羅的に発現遺伝子を解析できいる。心筋細胞のSOCS3抑制による心筋保護機構について、特に、アポトーシス、ミトコンドリア関連遺伝子や炎症経路が重要であることを見いだすことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋細胞のSOCS抑制による心筋保護機構について、特に、アポトーシス、ミトコンドリア障害、酸化ストレス、DNA障害などの関与について解析を進める。急性心筋梗塞などの心筋障害モデルを作成したSOCS3-CKOにEPOもしくはG-CSFを投与し、心筋のSOCS3抑制がサイトカインの心筋保護効果を促進することができるかどうかを明らかにする。JAK阻害因子であるSOCS1とSOCS3を欠損するマウス(SOCS1/3-CKO)を作成し、これらの心筋特異的重複欠損マウスにおいて心筋保護効果を促進するかどうかを明らかにする。急性心筋梗塞モデルを作成したSOCS3-CKOにマイクロアレイ解析を行い、虚血時の心筋のSOCS3抑制による遺伝子発現を明らかにする。急性心筋梗塞モデルを作成したSOCS3-CKOにマイクロRNA(miRNA)アレイ解析を行い、虚血時の心筋のSOCS3抑制によって制御されるmiRNAを明らかにする。上記のマイクロアレイとmiRNAアレイによって同定される遺伝子について、その心筋保護に対する効果を培養心筋細胞を用いて解析する。特に重要であると考える遺伝子についてはノックアウトマウスの作成について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子改変マウスの飼育管理費用、生化学もしくは分子生物学的な消耗品、学会の交通費と宿泊費、論文校正費用などに使用する予定である。
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[Journal Article] Cardiac-Specific Deletion of SOCS-3 Prevents Development of Left Ventricular Remodeling After Acute Myocardial Infarction.2012
Author(s)
Oba T, Yasukawa H, Hoshijima M, Sasaki KI, Futamata N, Fukui D, Mawatari K, Nagata T, Kyogoku, S, Ohshima H, Minami T, Nakamura K, Kang D, Yajima T, Knowlton KU, Imaizumi T
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Journal Title
J Am Coll Cardiol
Volume: 59
Pages: 838-852
Peer Reviewed
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[Journal Article] Transient reduction and activation of circulating dendritic cells in patients with acute myocardial infarction.2012
Author(s)
Fukui D, Yasukawa H, Sugi Y, Nagata T, Kyogoku S, Futamata N, Oba T, Yokoyama T, Yokoyama S, Ueno T, Kage M, Imaizumi T
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Journal Title
Int J Cardiol
Volume: 160
Pages: 216-219
Peer Reviewed
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[Presentation] Cardiac-Specific Deletion of Suppressor of Cytokine Signaling-3 Prevents Doxorubicin-Induced Cardiomyopathy in Mice.2012
Author(s)
Kyogoku S, Yasukawa H, Nagata T, Oba T, Ohshima H, Minami T, Yajima T, Hoshijima M, Aoki H, Knowlton KU, Imaizumi T
Organizer
The American Heart Association, The 85th Scientific Sessions
Place of Presentation
Los Angels, USA
Year and Date
20121103-20121107
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[Presentation] Pioglitazone Decreases Plasma Fibroblast Growth Factor-21 Levels in Patients with Type 2 Diabetes.2012
Author(s)
Mawatari K, Tahara N, Yasukawa H, Oba T, Nagata T, Kyougoku S, Ohshima H, Minami T, Mizoguchi M, Sugi Y, Adachi H, Imaizumi T
Organizer
The American Heart Association, The 85th Scientific Sessions
Place of Presentation
Los Angels, USA
Year and Date
20121103-20121107
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