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2012 Fiscal Year Research-status Report

ナチュラルキラーT細胞による動脈硬化における慢性炎症遷延化の分子基盤の解明

Research Project

Project/Area Number 23591096
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

石森 直樹  北海道大学, 医学部医学研究科, 助教 (70399848)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 筒井 裕之  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70264017)
絹川 真太郎  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60399871)
KeywordsナチュラルキラーT細胞 / 動脈硬化 / 慢性炎症 / 免疫応答 / 脂質異常症
Research Abstract

動脈硬化症の発症・進展においては、動脈壁における慢性・持続性炎症の遷延が重要な役割を果たしている。これらの病巣ではマクロファージやリンパ球などの炎症細胞が浸潤して炎症反応の持続が確認されているが、何故炎症が遷延するのか、炎症が慢性化する分子基盤についてはまったく分かっていない。ナチュラルキラーT(NKT)細胞は免疫応答を調節するTリンパ球亜群であり、動脈壁や内臓脂肪組織に局在し、動脈硬化症やメタボリックシンドロームの発症・進展で重要な役割を果たす。本研究の目的は、動脈硬化病巣における慢性炎症の基盤となる免疫制御機構をNKT細胞に着目して検討し、動脈硬化症の発症・進展に関わる炎症遷延化の病態を包括的に理解することである。
Th2優位BALB/cマウスを用いた解析では、NKT細胞は、DCなどの抗原提示細胞と協調して働き、炎症部位がIL-4優位Th2型免疫応答の場合はNKT細胞が抗原提示細胞によって刺激されるとIFN-γを分泌してTh1型免疫応答へと誘導する一方、IFN-γ優位Th1型免疫応答の場合はIL-4を分泌してTh2型免疫応答へ誘導する、NKT細胞を中心としたnegative regulationが存在することが報告されている。最近、ApoE 欠損マウスにおける抗原提示細胞に対するNKT細胞の反応性低下(アナジー)が報告された。我々は、「ApoE欠損マウスではNKT細胞がアナジーに陥っているためnegative regulationが破綻し、慢性炎症が遷延して動脈硬化が進展する」という仮説を立てた。
そこでまず、BALB/c背景ApoE 欠損マウスでNKT細胞が、①アナジーに陥っているかどうか、②negative regulationが破綻しているかどうか、③最終的に慢性炎症が遷延し動脈硬化進展を促進しているかどうか検討した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

雄性BALB/c背景ApoE欠損マウス(C.SHLマウス)においてNKT細胞がアナジーに陥っているかどうか確認するため、脾臓を摘出して単核球を分離し、RPMI 1640培地に2.5×10<5>個細胞を播きα-GalCerを添加して培養した。72時間後に培養上清を回収しELISA法にて上清中のIFN-γおよびIL-4濃度を測定した。またフローサイトメトリー解析によって脾細胞中のNKT細胞の割合を確認した。尚、正常対照群としてBALB/c マウスを用いた。その結果、C.SHLマウスではBALB/c マウスにくらべてNKT細胞の割合は同等であったが、α-GalCerに対する反応性が有意に低下しNKT細胞がアナジーに陥っていた。
次に、C.SHLマウスでのNKT細胞アナジーが「NKT細胞を中心としたnegative regulation(負の制御)」の破綻を来しているかどうか確認するため、BALB/cマウスよりMACSを用いてCD11c陽性脾細胞を分離しR1培地を用いて1週間培養し、α-GalCerおよびIFN-γあるいはIL-4を添加して7日間培養した。その後、各培養条件で得た細胞(脾細胞由来樹状細胞)5×10<5>個をC.SHLマウスあるいは、BALB/cマウスに養子移入後に採血し、ELISA法にて血漿中のIFN-γおよびIL-4濃度を測定した。
これまでの報告ではIFN-γ存在下に培養した樹状細胞にα-GalCerを添加してNKT細胞を刺激するとIL-4優位のサイトカイン産生パターンを示し、IL-4存在下に培養した樹状細胞にではIFN-γ優位のサイトカイン産生パターンを示す「NKT細胞を中心とした負の制御」の存在が示されていたが、今回の実験ではIFN-γ添加群、IL-4添加群ともに同様のサイトカイン分泌パターンを呈し、負の制御を再現することはできなかった。

Strategy for Future Research Activity

「NKT細胞を中心とした負の制御」の再現は、我々の仮説の前提となる重要な免疫応答である。当初我々は、α-GalCer をNKT細胞に抗原提示して活性化を引き起こす樹状細胞は、MACSを用いてCD11c陽性脾細胞を分離し、R1培地を用いて計2週間培養した、いわゆる脾細胞由来樹状細胞を用いてきた。しかし、樹状細胞は分化誘導を起こす培養法によって、その性質が大きく異なることが指摘されており、近年樹状細胞を用いた研究においては、骨髄より単核球を採取しGM-CSFを添加して培養した、骨髄由来樹状細胞を用いた研究が主流となっている。
今後はこの骨髄由来樹状細胞を用いてα-GalCerおよびIFN-γあるいはIL-4を添加して培養し、まずは「NKT細胞を中心とした負の制御」を再現することから取り組みたい。さらに、各培養条件で得た細胞をC.SHLマウスあるいは、BALB/cマウスに養子移入して採血し、ELISA法にて血漿中のIFN-γおよびIL-4濃度を測定して、BALB/cマウスで認める負の制御がC.SHLマウスでは破綻していることを証明してゆきたいと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

URL: 

Published: 2014-07-24  

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