2012 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルに着目した新規血管再生治療の開発
Project/Area Number |
23591097
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
舘野 馨 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20532758)
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Keywords | Notch |
Research Abstract |
重症下肢虚血に対する治療法として、単核球細胞移植による血管再生治療の有用性が認められているが、この治療法には腎不全、糖尿病症例や高齢者を中心に約30%の治療無反応例(Non-Responder; 以下NRケース)が存在することも明らかとなっている。我々は本法の治療機序にNotchシグナルが不可欠であることを見出し、またNRケースにおいてNotchシグナルが低下していることを示唆する所見を得た。そこでNRケースに治療効果を有する新規治療法を開発することを目標に、NRケースとNotchシグナルとの関連、および抗体医薬によるNotchシグナル増強療法の妥当性を検証することを目的として本研究をデザインした。 初年度はNRモデル動物の確立と、NRモデル動物の治療無反応性に、Notchシグナルが関与するか検証することとした。そこで腎不全モデル、糖尿病モデル、加齢モデルを作成したところ、糖尿病モデルおよび加齢モデルでは、対照マウスと比較して下肢虚血後の血流回 復が遅延することが確認された。腎不全モデルは、下肢虚血後の血流回復に統計学的に有意な差を認めなかった。しかしこれら3モデルはいずれも、下肢虚血作成後にみられるNotchシグナルの増強が著明に減弱していることが見出された。 今後は、これらNRモデル動物に単核球移植による血管再生治療を行い、治療効果の減弱が認められるか確認するとともに、NRモデル動物に対するNotch増強療法の有用性を検証する予定である。またNRケース予測診断のため、患者単核球によるNotchシグナル増強作用の定量法を開発する予定である。本邦では年間4000人を越える重症下肢虚血患者が新たに発症しているが、多領域に渡る集学的かつ高度な医療を行っても、治癒するのはわずか25%である。本研究により今後、新たな治療法が開発されれば、医学的・経済学的なインパクトは極めて大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病モデルマウス、腎不全モデルマウス、加齢モデルマウスにおいて、血管再生能の低下を確認した。またこれらの虚血骨格筋において、Notchシグナルが低下することを確認できた。 また臨床検体において、Notch受容体のリガンドであるJagged1とDll4の発現に個人差があることを見出した。またJagged1の発現は臨床効果と相関するのに対して、Dll4の発現は関連がないことを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病モデルマウス、腎不全モデルマウス、加齢モデルマウスにおいて、低下した血管再生能をNotchシグナル増強によって回復できるか検証する予定である。 ところで近年、Jagged1とDll4とでは、血管内皮細胞の増殖に対する効果が相反することが報告され始めている。我々の臨床検体における上記知見も、リガンド分画を検討したほうが治療効果予測に重要である可能性が示唆された。そこで研究計画を一部変更し、単核球によるNotchシグナル増強作用を測定する代わりに、移植細胞でのJagged1とDll4の発現と血管再生効果の差異を検証する方針とした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Notchシグナル増強作用および血管再生効果をNotchリガンド別に検証するため、各Notchリガンドの遺伝子導入に関した実験に研究費を用いたい。また、糖尿病モデルマウス、腎不全モデルマウス、加齢モデルマウスにおいて、それぞれのリガンド導入細胞が有する血管再生回復能を検証するため、実験動物およびその管理、機能解析に研究費を用いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)