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2011 Fiscal Year Research-status Report

動脈硬化に中心的役割を果たす骨髄由来細胞を標的とした治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 23591098
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

岩田 洋  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00451807)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords分子血管病態学 / 血管リモデリング / 骨髄由来細胞 / 平滑筋細胞 / 分化
Research Abstract

本研究は動脈硬化に際し、骨髄由来細胞がどのような役割を果たしているのかを解明し、骨髄由来細胞をターゲットにした治療法を確立するのが目的である。これまでに、1) 動脈硬化などの血管病変に集簇する骨髄由来細胞は、マクロファージの形質を有しながら、血管平滑筋細胞や線維芽細胞に発現するSMα-actinも同時に発現している。2) マクロファージのサブタイプの中でも炎症を促進すると考えられるM1マクロファージの形質を強く発現していることが示されたたことから、血管病変において観察される骨髄由来SMα-actin陽性細胞は、さまざまな臓器で繊維化などの臓器リモデリングに寄与するとされるcirculating fibrocytesと相同性を有する。3) M1マクロファージに強く発現する表面マーカー(CD11b,Ly-6c)を発現しているSMα-actin-EGFPレポーターマウスの骨髄細胞を、血管障害モデルマウス末梢血に混入したところ、障害血管の新生内膜のみならず中膜や外膜にもGFP陽性細胞の集簇を認めたため、動脈硬化においてSMα-actinを発現しながら骨髄由来の主にM1マクロファージの形質を有する平滑筋"様"細胞が重要な役割を果たしていること明らかとなった。さらに、物理的血管障害により大動脈リモデリングを発症する新たなマウスモデルを用いて大動脈リモデリングのメカニズムを解析した。TNFαノックアウトマウスに対し血管障害モデルを行った場合、障害後の生存曲線が野生型に比して明らかに低下すること、さらにその死因は80%以上の確率で大動脈破裂であることが明らかとなった。野生型の骨髄をTNFαノックアウトに移植し、血管障害モデルを行うと、生存率が改善することも明らかとなり、骨髄由来SMα-actin陽性細胞が組織の修復機転にも重要な役割を果たしていることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

動脈硬化と骨髄由来細胞の関与"について、動脈硬化など病的な面から、逆に強い組織障害が加わった際には組織保護的にはたらくことが明らかにされ、骨髄由来SMα-actin陽性細胞の多面的なはたらきが明らかになりつつある。骨髄由来細胞という側面と平滑筋細胞という側面の両面から解析が進んでおり、動脈硬化においてこれまでは同定・指摘されてこなかったあらたな細胞群が重要な働きをしていることが示唆されている。

Strategy for Future Research Activity

動脈硬化に関与する骨髄由来細胞の中でも、特にマクロファージに関するバイオロジーを探求するプロジェクトを開始している。炎症性(M1)と炎症抑制性(M2)の分化、あるいは脱分化に関する知見を得ることが主目的となる。M1とM2のスイッチに関連する重要な分子が明らかにしたい。細胞内シグナル伝達系の遺伝子発現を検討することが可能なDNA arrayを購入し、網羅的遺伝子解析を行う。特に炎症性のシグナル伝達系であるTLR、NFκBを含む系に特に注目して、解析を行いたい。さらに、Proteomicsを用いた網羅的タンパク解析、平行してflow cytometryを用いた細胞表面抗原解析を行い、システムにおける鍵となる物質を同定する。さらに、骨髄前駆細胞からマクロファージ/平滑筋様細胞への分化機構を同様のシステムを用いて解析し、その分子機構を明らかにする。DNA arrayあるいはproteomicsなどの技術を用いて、鍵となる物質をスクリーニングしたら、薬剤スクリーニングを行い、マクロファージや骨髄由来細胞を制御し、動脈硬化の治療あるいは進行を抑制する薬剤を見つけ出す。逆にこれまでの薬剤における新たな効能や効果を見つけ出すことが可能になる。さらにその鍵となる物質をマクロファージあるいは単球のみで選択的に発現を低下させるようなマウスを作成すれば、in vivoにおける検討も行うことができる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

マクロファージのフェノタイプ変換、骨髄細胞から平滑筋‘様’細胞への分化に関する分子生物学的検討においてはシグナル伝達系の遺伝子発現を検討することが可能なDNA arrayを購入し、網羅的遺伝子解析を行う。さらに、Proteomicsを用いた網羅的タンパク解析、平行してflow cytometryを用いた細胞表面抗原解析を行い、システムにおける鍵となる物質を同定することに研究費を使用する予定である。まずはマクロファージのフェノタイプ解析を先行させ、解析システムの確立を目指す。その語同定された物質のコンディショナルノックアウトを作成するために研究費を使用する。さらには学会などでの成果報告も行いたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results)

  • [Journal Article] Development and implementation of an advanced coronary angiography and intervention database system.2012

    • Author(s)
      Kohro T, Iwata H, Fujiu K, Manabe I, Fujita H, Haraguchi G, Morino Y, Oguri A, Ikenouchi H, Kurabayashi M, Ikari Y, Isobe M, Ohe K, Nagai R
    • Journal Title

      Int Heart J

      Volume: 53 Pages: 35-42

    • DOI

      10.1536/ihj.53.35

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Prognostic implication of macrocytosis on adverse outcomes after coronary intervention.2011

    • Author(s)
      Myojo M, Iwata H, Kohro T, Sato H, Kiyosue A, Ando J, Sawaki D, Takahashi M, Fujita H, Hirata Y, Nagai R
    • Journal Title

      Atherosclerosis

      Volume: 221 Pages: 148-53

    • DOI

      10.1016/j.atherosclerosis.2011.11.044

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Aliskiren in combination with valsartan exerts synergistic protective effects against ventricular remodeling after myocardial infarction in mice2011

    • Author(s)
      Higashikuni Y, Takaoka M, Iwata H, Tanaka K, Hirata Y, Nagai R, Sata M
    • Journal Title

      Hypertens Res

      Volume: 35 Pages: 62-9

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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