2012 Fiscal Year Research-status Report
活性化マクロファージを標的とした不安定プラークの分子イメージングと治療法の開発
Project/Area Number |
23591105
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮田 昌明 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00347113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 隆美 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30145479)
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Keywords | 葉酸レセプターβ / 活性化マクロファージ / 動脈硬化 / 分子イメージング |
Research Abstract |
①抗葉酸レセプターβ(FRβ)抗体を用いた動脈硬化の新規治療法の前臨床研究 抗FRβモノクローナル抗体に緑膿菌毒素を結合させたリコンビナントイムノトキシン(FRβイムノトキシン)を15週齢及び35週齢のアポ蛋白E欠損マウス(apoE-KO)の尾静脈より3日おきに5回静脈注射し、4週間の観察後、それぞれ21週齢と41週齢で動脈硬化病変面積を組織学的に定量解析した。同様に、生理食塩水をコントロール群、緑膿菌毒素を注射したものをトキシン群とした。FRβイムノトキシン群はコントロール群やトキシン群と比較し、15 および35週齢各群ともに動脈硬化面積が有意に減少した。また、免疫組織化学染色評価で、イムノトキシン群はコントロール群やトキシン群と比較し、FRβ発現、CD68発現、TNF-α発現マクロファージ数が有意に低下した。 ②可溶性FRβ測定系の確立と動脈硬化性疾患患者での測定 ヒトFRβ発現B300-19(マウスB細胞株)を、ラットに免疫した腹腔内リンパ節を用い、細胞融合法にて抗FRβ抗体を得た。この抗体を用い、サンドイッチELISA測定法を確立し、血清のFRβ濃度を大動脈瘤患者と正常コントロールで測定した。正常コントロールと比較し、大動脈瘤患者ではFRβ濃度の高い症例を認めた。 ③抗FRβモノクローナル抗体を用いた超音波分子イメージングの開発 マイクロバブルによる超音波分子イメージングで明らかなシグナルを認めなかったため、蛍光による分子イメージングに切り替えた。抗FRβモノクローナル抗体をAlexa Fluor 488で標識し、一匹あたり100マイクログラムをマウスの尾静脈から注射投与した。2時間後にマウスを屠殺し大動脈全体を摘出し、MaestroTM in-vivo imaging systemにて488nmで励起し、520nmで撮影を行ない、動脈硬化病変部位に蛍光発色を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進んでいるものと研究方法を変更しなければならなかったものがあるが、概ね順調に進んでいる。昨年度の国内特許出願に引き続き、国際特許出願の準備も進めている。 ①抗FRβ抗体を用いた動脈硬化の新規治療法の前臨床研究:マウス抗FRβモノクローナル抗体の静脈投与により、動脈硬化モデルマウスであるapoE-KOマウスの動脈硬化病変を抑制することを昨年度、示した。今年度は、さらに、抗体のみからFRβイムノトキシンにすることにより、少ない抗体量で活性化マクロファージにアポトーシスを誘導し死滅させ、ApoE-KOマウスの動脈硬化を縮小することを示した。この研究結果をまとめ、Circulation誌に投稿し、一度はreviseしたが、アメリカ心臓協会(AHA)が新しく設けたオンラインジャーナルであるJournal of AHAへの投稿を勧められ、論文発表した。また、日本心臓病学会学術集会(2013年9月)において、本研究成果を招請講演した。 ②可溶性FRβ測定系の確立と動脈硬化性疾患患者での測定:血清のFRβ濃度を測定するサンドイッチELISA測定法を確立することができ、大動脈の動脈硬化硬化を認める大動脈瘤患者で測定し、この研究も順調に進んでいる。 ③抗FRβモノクローナル抗体を用いた超音波分子イメージングの開発:抗FRβモノクローナル抗体を用いFRβを認識するマイクロバブルを作成し、apoE-KOマウスの動脈硬化病変を超音波で描出することを試みたが、描出できなかった。その理由として、動脈硬化病巣内部に存在するFRβ発現マクロファージを標的とするため、抗体と結合したマイクロバブルは分子量が大きく、組織内に浸潤することが出来ない可能性があると思われた。方法論に限界があると判断し、今回、Stanford大学のDalman教授と共同して、蛍光による分子イメージングを行い動脈硬化病変の描出に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
①抗FRβ抗体を用いた動脈硬化の新規治療法の前臨床研究 抗FRβモノクローナル抗体とFRβイムノトキシンによりアポ蛋白E欠損マウスの動脈硬化病変を抑制することが示されたが、今後、その機序として動脈硬化病変面積、動脈硬化巣におけるFRβ発現マクロファージやTNF-α 発現マクロファージ数、アポトーシス細胞数などを検討する。また、in vitroで活性化マクロファージに対する抗FRβモノクローナル抗体とFRβイムノトキシンの作用の違いを比較検討する。 ②可溶性FRβ測定系の確立と動脈硬化性疾患患者での測定 抗ヒトFRβモノクローナル抗体を用いたELISA測定系で、大動脈瘤患者の血清FRβ濃度を測定したが、今年度は、急性冠症候群、狭心症、閉塞性動脈硬化症患者およびこれらの患者に年齢と性別を一致させたコントロール健常者の血中可溶性FRβ値を測定し、比較検討する。さらに、血清高感度CRP、可溶性LOX-1、MDA-LDL、冠動脈造影検査、血管内超音波検査、ABI (ankle brachial pressure index)値、baPWV (barachial-ankle pulse wave velocity)、CAVI (Cardio-Ankle Vascular Index)の既存の動脈硬化指標と可溶性FRβとの関連を検討する。 ③抗FRβモノクローナル抗体を用いた超音波分子イメージングの開発 抗FRβモノクローナル抗体をAlexa Fluor 488で標識しアポ蛋白E欠損マウスに投与して、MaestroTM in-vivo imaging systemにて動脈硬化病変を描出する蛍光分子イメージングの研究を進める。今後は、蛍光分子イメージングの再現性を確認し、蛍光発色する病変部分を組織学的に検索し、活性化マクロファージの存在を反映しているかを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究には抗FRβモノクローナル抗体を多量に使用するために、マウス抗FRβモノクローナル抗体作成に必要な培養関連試薬や蛋白精製に必要な試薬を購入する。 また、抗FRβモノクローナル抗体やFRβイムノトキシンによるアポ蛋白E欠損マウスの動脈硬化病変抑制機序を研究するための免疫組織染色、Western blot、real time PCR、FCS解析に必要な消耗品を購入する。 血清FRβを測定するためのELISA作成キットとそれに必要な試薬に加え、同時に測定する血清高感度CRP、可溶性LOX-1、MDA-LDLなどの測定に必要なキットや試薬を購入する。 また、抗FRβ抗体を用いた蛍光分子イメージングでは、動脈硬化モデルマウスであるアポ蛋白E欠損マウスの繁殖・飼育費に加え、蛍光標識薬であるAlexa Fluor 488の購入と免疫組織化学染色に必要な消耗品や抗体を購入する。 さらに、研究成果発表のための国内学会旅費、論文の英文校正に係わる経費や最終報告書の印刷代も必要である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Novel therapy for atherosclerosis using recombinant immunotoxin against folate receptor β-expressing macrophages2012
Author(s)
Furusho Y, Miyata M, Matsuyama T, Nagai T, Li H, Akasaki Y, Hamada N, Miyauchi T, Ikeda Y, Shirasawa T, Ide K, Tei C
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Journal Title
Journal of American Heart Association
Volume: 1
Pages: e003079
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effects of valsartan on fibrinolysis in hypertensive patients with metabolic syndrome: the KACT-MetS Study2012
Author(s)
Miyata M, Ikeda Y, Nakamura S, Sasaki T, Abe S, Minagoe S, Torii H, Lee S, Tateishi S, Kihara K, Ohba I, Kajiya S, Furusho Y, Hamasaki S, Tei C, et al
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Journal Title
Circulation Journal
Volume: 76
Pages: 843-851
Peer Reviewed
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