2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性肺気腫症の病態解析とCD40抑制による新規治療法の開発
Project/Area Number |
23591114
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
多田 裕司 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50344990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 靖紀 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60343092)
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Keywords | CD40 / Fas / IFN-γ / apoptosis / 肺気腫 |
Research Abstract |
研究目的はCD40/CD40Lシグナル系が関与した、apoptosis誘導系がマウス肺に気腫化を誘導するかどうか、また実際にヒトCOPDの患者でCD40/CD40Lが活性化しているかどうかを検証する事である。 マウスに抗CD40抗体を、抗Fas抗体、もしくはIFN-γと同時に吸入させて気管支肺胞洗浄液を回収、肺病理組織を解析した。結果的にはCD40/CD40LシグナルがFas依存性apoptosisを亢進させる、IFN-γ依存性Th1免疫反応を亢進させCCR5ケモカインの発現を誘導するという、2つの経路でマウス肺に著明な気腫化を誘導した。 またヒトCOPD患者の血清を回収して、血清soluble CD40L濃度をhealthy smoker(同様な喫煙歴を有するがCOPD基準を満たさない健常者)と比較したところ、有意差を持って上昇していた。 血清中のsoluble-CD40L濃度は、HRCTスキャンで測定した、肺野のLAA(低吸収域範囲)および、呼吸機能検査での閉塞性障害の程度と相関していた。以上からCD40/CD40Lシステムは、マウスでもヒトでも気腫肺の形成に深く関与している事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス気腫肺のモデル作成は困難とされているが、吸入抗体の調整により少量を頻回に投与する事で比較的きれいな肺気腫マウスモデルを作成する事ができた。 さらに気管支肺胞液のELISA解析、病理組織の免疫染色などを行い、apoptosisと炎症の2つの側面からそのメカニズムをある程度解明する事ができた。 またヒト血清でもCD40シグナルが活性化していることを間接的にではあるが証明でき、マウス実験の結果をサポートできた。
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Strategy for Future Research Activity |
CD40/CD40Lシステムは、肺胞構成細胞(上皮細胞、血管内皮細胞)にapoptosisを誘導し、構造的な変化を誘導する事を証明した。実験の過程で抗CD40抗体、抗Fas抗体を比較的大量に投与すると、激しい炎症細胞の浸潤が認められ死亡する個体が多く見られた。これらの結果から間質性肺炎急性増悪、ARDSでも当該系の活性化が関与する可能性を考えて実証中である。具体的にはヒト患者からの血清もしくは、気管支肺胞洗浄液から得られた検体の解析、VATS肺組織の免疫染色なども、マウス実験と並行して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)