2013 Fiscal Year Annual Research Report
Dokファミリータンパク質の呼吸器疾患における役割
Project/Area Number |
23591115
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
真嶋 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (00401365)
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Keywords | 喘息 / 疾患モデルマウス / 閉塞性肺疾患 / チロシンキナーゼ / アダプタータンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、研究期間全体を通じてチロシンキナーゼシグナル抑制性アダプター分子であるDokファミリータンパク質の呼吸器疾患、特に喘息における役割を検討した。Dokファミリータンパク質は、哺乳類では7種類知られている。喘息は種々の要因で発症し、その一因として免疫系の異常が知られている。免疫細胞には7種のDokファミリー分子のうち3種類が高発現しているため、本研究ではこの3分子を欠損させたマウスを用いて喘息の表現型について野性型と比較検討した。合わせて最終年度には研究成果のまとめを行った。 喘息の評価は次の通り行った。成獣マウスを用い、ケタミン/キシラジン麻酔下にて気管切開し、マウスを人工呼吸装置に装着した。その後、メタコリン濃度を段階的に上昇させて、それぞれにおける気道抵抗値を測定した。三重欠損マウスの呼吸機能の評価を行う際には野性型、単欠損および二重欠損マウスの気道抵抗値も同時に測定し、比較した。 検討の結果、三重欠損マウスでのみメタコリン依存的な気道抵抗値の上昇が認められた。この理由を明らかにするため、肺胞洗浄液を調製し、この中に含まれるTh2サイトカインの量をELISAにて検討したところ、三重欠損マウスで有意な上昇を認めた。また、組織学的検討を行い、杯細胞増生と粘液産生など、Th2サイトカインの亢進と相関する表現型も認められた。従って、本研究で確認されたDokファミリー分子の三重欠損マウスの喘息様表現型は、免疫細胞の異常な活性化により引き起こされたものと結論された。 喘息の要因は多様であるが、本研究の成果により、チロシンキナーゼシグナル制御の重要性が明らかになった。この成果を基に、新たなチロシンキナーゼシグナル制御薬の開発などへの応用的発展が期待される。
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