2013 Fiscal Year Annual Research Report
Fut8遺伝子変異マウスにおける慢性閉塞性肺疾患早期発症の分子機構の解明
Project/Area Number |
23591118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高 叢笑 大阪大学, 産業科学研究所, 招へい教員 (50379260)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / Fut8ヘテロ欠損マウス / 喫煙暴露 / alpah 1,6 fucose |
Research Abstract |
本研究課題は「Fut8遺伝子変異マウスにおける慢性閉塞性肺疾患早期発症の分子機構の解明」を目的に掲げ、Fut8の触媒産物であるalpha 1,6 fucose 構造の欠損によって、肺における細胞死、上皮修復、酸化ストレスなどに関わる機能変化を多方面から解析し、早期発症の分子メカニズムの詳細を明らかにする研究を行っている。 Fut8遺伝子ヘテロノックアウトマウスの喫煙暴露モデルを解析することにより、正常マウスに比べて2倍速くCOPDを発症することを見出した。マウスの肺組織では、Fut8の遺伝子発現および酵素活性レベルが喫煙暴露によってさらに低下することでマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)が著しく活性化され、肺胞壁の破壊に繋がった。シグナル伝達経路の解析では、TGFβ1-Smad2-MMP パスウェー及びそれを調節する分子Smad7 の変化を突き止めた。本研究成果は、米国の科学雑誌『The Journal of Biology Chemistry』に掲載されました。また、ヒトCOPD患者の血清サンプルを測定したところ、気腫化の重症化や増悪などのFUT8活性との関連性を突き止めた。FUT8活性は低い程、患者の呼吸機能を示す一秒率の年間減少率(annual decline of FEV1)が大きいことが分った。同時に、このようなCOPD患者さんにおける増悪の頻度も高くなる。これらの結果からFut8の活性低下は生体に喫煙や空気汚染などの外襲性因子への高い感受性をもたらし、さらに肺間質の合成と破壊のバランスを崩し、肺気腫の発症につながる。また、FUT8ノックアウト細胞では酸化ストレスの指標となるタンパク質の発現が高くなっていることが確認し、酸化ストレスによる発症機序もあることが示唆された。
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Research Products
(2 results)