2011 Fiscal Year Research-status Report
肥満による喘息悪化機序の解明ーCD8陽性T細胞との関係
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23591120
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大西 広志 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (90553876)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 喘息 / 肥満 |
Research Abstract |
喘息と肥満との関係を明らかにすることを目的に、肥満マウスと非肥満マウスに、卵白アルブミンを腹腔内感作・吸入曝露してアレルギー性気道炎症を惹起し、気道過敏性亢進と好酸球性気道炎症の発現に差が見られるか否かを検討した。卵白アルブミンで吸入曝露しただけのコントロールマウスでは、非肥満マウス群と肥満マウス群ともに好酸球性気道炎症は惹起されず、気道抵抗にも差は認められなかった。非肥満マウスに卵白アルブミンを腹腔内感作・吸入曝露して作製した喘息モデルマウスでは、吸入曝露のみを施したコントロールマウスと比較して、有意な気道過敏性の亢進と好酸球性気道炎症が惹起された。一方、肥満マウスで喘息モデルを作成した場合には、非肥満マウスに比較して更なる気道過敏性亢進を認め、喘息と肥満とが関連することが示唆されたが、肥満マウス群と非肥満マウス群の間で好酸球性気道炎症の程度には有意な差は認められなかった。卵白アルブミンを腹腔内感作した肥満マウスから内臓脂肪を取り出し、更に単核球を分離し、試験管内で卵白アルブミンで刺激培養して、抗原特異的サイトカインが産生されるか否かを検討した。肥満マウスの脂肪から分離した単核球からは、卵白アルブミン刺激に対して特異的にTh2サイトカインおよびTh1サイトカインの産生亢進が見られ、内臓脂肪中に存在する単核球から、喘息病態の形成に重要な役割を担うと考えられているサイトカイン産生が、抗原特異的に生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究の目標であった、肥満マウスと非肥満マウスにおける喘息モデルの気道炎症と気道過敏性の差を検討できた。人間と同様にマウスにおいても、肥満マウスにおいて気道過敏性が亢進していることを確認できた。更に、肥満マウスの内臓脂肪中の単核球に、抗原特異的なTh2サイトカインの産生能力があることを示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
卵白アルブミンを腹腔内感作した肥満マウスの内臓脂肪からCD8陽性T細胞を取り出し、本研究の焦点である内臓脂肪中のCD8T細胞に、抗原特異的Th2サイトカイン産生能力があるか否かを検討する。CD8T細胞の分離には、磁器を利用したMACS法により行う。さらに、分離したCD8陽性T細胞を喘息モデルマウスに受身移入して、喘息病態が増強されるか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度では、CD8T細胞の分離に必要な経費をまだ一部しか使用していないため、次年度への研究費の繰越が生じた。次年度では、当初の予定通り、内臓脂肪中のCD8T細胞を分離して、抗原特異的Th2サイトカイン産生能力があるか否かを検討するとともに、非肥満マウスの喘息モデルにCD8T細胞を受身移入して、喘息病態が増強されるか否かを検討していく。
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Research Products
(6 results)