2013 Fiscal Year Annual Research Report
長時間作用性β2刺激薬による気道粘液分泌亢進と気道クリアランス障害の分子病態
Project/Area Number |
23591127
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
玉置 淳 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60147395)
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Keywords | 気道クリアランス / 粘液線毛輸送 / 気道上皮細胞 / 線毛運動 / β2受容体 |
Research Abstract |
1.気道上皮細胞の線毛運動周波数:マウス気管上皮培養細胞をローズチェンバーにマウントし,微分干渉装置付顕微鏡の保温ステージに設置した.線毛部分の画像は,CCDカメラにて70枚/秒で連続撮影したものを解析装置に取り込み,線毛運動によって光が遮られて生ずる輝度変化をフーリエ変換し線毛運動周波数(CBF)を得た.その結果,サルメテロールはCBFを急速,かつ濃度依存的に増加させ,最大反応の50%を惹起するのに必要なサルメテロール濃度 (EC50)は2.4±0.7nMであった.また,以上のは特異的β2受容体アンタゴニストであるICI-118551およびcAMP阻害薬であるRp-cAMPSの前処置により完全に消失した.さらに,気管培養上皮細胞における細胞内cAMP量を[3H]-cAMPを用いたRIA法により測定した結果,非刺激下に比較して,サルメテロールを添加しインキュベートすることによりcAMP濃度はサルメテロールの濃度依存的に増加した. 2.粘液線毛輸送および気道クリアランス:マウスを麻酔しレスピラータに装着した後,気管全面を横切開した.次いで,露出させた膜様部粘膜表面の気管分岐部より1.5cm中枢側にEvans blue(EB)色素を静置した.その後,経時的に気管を摘出し,気管分岐部から喉頭側に向かって1cm毎の組織片4個を切り出した.これらの組織片はフォルムアミドに24時間浸漬し,抽出したEB色素は比色光度計にて測定した.その結果,サルメテロールの投与により,気管分岐部近傍の組織内EB濃度は急速に減少し,それに伴い中枢側の気管内EB濃度は経時的に増加した.これらの効果は用量依存的であり,β2刺激薬による気道クリアランスの改善が示された.
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Research Products
(7 results)