2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞を用いた肺組織幹細胞の探索とII型肺胞上皮細胞誘導への挑戦
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23591146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 功朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40447975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長船 健二 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80502947)
新實 彰男 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30252513)
三嶋 理晃 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60190625)
室 繁郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60344454)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | サーファクタントプロテインC / II型肺胞上皮細胞 / 前腸細胞 / FOXA2 / SOX2 / NKX2.1 / レポーター細胞 / ヒトiPS細胞 |
Research Abstract |
当初の計画に基づき、まずはすでに樹立されているヒトiPS細胞を用いてSurfactant protein Cのレポーター細胞を樹立した。そして既報に基づき、薬剤耐性遺伝子を用いてII型肺胞上皮細胞に分化した細胞を回収した結果、免疫染色でごく少数の細胞についてはSFTPC, SFTPB陽性とみられる細胞が確認でき、電子顕微鏡でもII型肺胞上皮と思われるlamella bodyを持つ細胞を認めることができたが、誘導効率が悪く、増殖させたり維持することもできず、濃縮することもできなかった。このため、他の臓器で行なわれているように、発生の各段階を再現しながら、分化誘導する手法を確立し、その上でレポーター細胞を利用することにした。多くの困難を伴ったが、前腸細胞とされるFOXA2+SOX2+細胞を90%以上の高効率で誘導する技術を確立し、腹側前腸細胞とされる(NKX2.1+FOXA2+細胞)についても30-60%の効率で誘導することができるようになった。NKX2.1+FOXA2+細胞は肺胞上皮細胞だけでなく、気道上皮細胞、甲状腺、副甲状腺といった組織に分化しうる能力を持つとされ、既報よりも効率よく、マウスではなくヒトで誘導できる技術が確立できたことは画期的である。この段階でNKX2.1+FOXA2+細胞を単離濃縮できる技術を確立するため、ヒトNKX2.1レポーター細胞の開発にも着手した。また、さらに誘導実験を進めた結果、ごく一部ではあるが、SFTPC陽性細胞とみられる細胞も観察されることも分かった。しかしながら、SFTPC陽性細胞についてはまだ単離濃縮できる程度の効率ではなく、分化誘導プロトコルのさらなる改良が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京都大学iPS細胞研究所との共同研究で著しく研究が進めやすくなっている。海外の研究動向も目が離せない状態であるが、海外勢と比較しても効率のよいNKX2.1+FOXA2+細胞を誘導できていることはこの研究を有利なものにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに着手しているヒトNKX2.1レポーター細胞の完成とそれを利用した濃縮、遺伝子発現の網羅的解析、SFTPC陽性細胞の効率よい誘導方法の確立とヒトSFTPCレポーター細胞を用いた単離濃縮、遺伝子発現の網羅的解析、ヒト肺組織幹細胞の表面抗原の候補同定、表面抗原を利用したヒト肺組織幹細胞の単離濃縮、誘導した細胞の実験動物への移植実験.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養実験に要する消耗品にほとんどを費やす.加えて,学会参加に使用.
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