2011 Fiscal Year Research-status Report
睡眠時無呼吸症候群による時計遺伝子を介した分子生物学的影響に関する研究
Project/Area Number |
23591147
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鰤岡 直人 鳥取大学, 医学部, 教授 (50252854)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / 睡眠時無呼吸症候群 / 睡眠関連呼吸障害 / 低酸素血症 / 交感神経活動亢進 |
Research Abstract |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は,睡眠中の間歇的低酸素血症(IH),交感神経活動亢進,胸腔内・陰圧変動など明確な生理学的影響を与える疾患である.結果,全身炎症,過眠症,うつ状態,高血圧,動脈硬化,夜間頻尿などが生じる.これまでに以下を明らかにしてきた.(1)OSAS患者に交感神経活動亢進があり血漿ノルアドレナリンが上昇する症例が多い.齧歯類を用いた実験で慢性ノルアドレナリン上昇状態が中枢時計遺伝子(視交叉上核)には影響を及ぼさないが,海馬,大脳皮質などの末梢時計遺伝子の正常日内変動パターンを変調させ,いわゆる"時差ぼけ(時差症候群)"に近い状態となり過眠症,うつ状態に関係する可能性も想定される.(2)OSASは睡眠中にIHを生じる.培養細胞実験のIH状態で転写因子NF-κBシグナル経路が活性化され炎症性サイトカインIL-6 mRNA発現は亢進した.しかし,IH状態は時計遺伝子のPeriod1, Period2, Cry1, Rev-erbα, Clock mRNA発現に影響しなかった.血清IL-6濃度はIHを認めるOSAS患者群で上昇したが持続気道陽圧(CPAP)療法で低下した.IH状態は,これら時計遺伝子の発現に影響を与えないが IL-6産生に関与しOSAS患者の全身炎症の一因となる.平成23年度は,これらの知見を元に研究を継続した. ヒト時計遺伝子の発現を直接調べるため,肺手術患者の正常肺および腫瘍組織部におけるPeriod1, Period2, Clock, Bmal1のmRNAの発現をReal-time PCRで調べる方法を確立した.OSASを合併した患者との違いを明らかにできる可能性もあるため平成24年度もin vitroの実験を含めて検討していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
手術時,ヒト生体で得られる肺組織における時計遺伝子発現を調べる方法を確立した.一方,時計被制御遺伝子(clock-controlled gene)に対する影響に関しては検討がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
肺手術を受けた患者の切除肺の正常及び腫瘍組織部における時計遺伝子の発現を解析し,切除時刻による違いや睡眠時無呼吸を合併した患者との違いをin vitroの実験を含めて検討していく予定である.また,時計被制御遺伝子(clock-controlled gene)に対する影響に関しては検討がやや遅れている.ヒト体内分子時計を駆動する時計遺伝子群を制御する重要な転写因子の一つはBmal1:Clockヘテロダイマーである.Bmal1:Clockヘテロダイマーが結合するプロモーター領域の E-box配列をもつ遺伝子で,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の合併症に関係する可能性のある時計被制御遺伝子を主に調べていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は手持ちの試薬と物品で研究を行ったため予算が余った.これは無理に予算を消化せず,平成24年度に必要な試薬,物品などを購入するためである.平成24年度は前年度から繰り越した予算額を含めて,実験に使用する消耗品,試薬類,物品費に用いる.
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