2011 Fiscal Year Research-status Report
呼吸器悪性腫瘍における新規癌ウイルス感染実態の網羅的解析
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23591149
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上岡 樹生 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (00274374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50263976)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ウイルス / 癌 / 呼吸腫瘍 / 感染症 / 微生物 |
Research Abstract |
喫煙は肺癌の最大の原因ではあるが、近年非喫煙者の非小細胞肺癌(NSCLC)が増加の傾向にある。この傾向は特にアジアに顕著にみられる。従来、肺癌の原因として喫煙以外に、環境因子、遺伝的素因、ウイルスの関与が示唆されてきたが、最近の世界的疫学研究結果においても、改めて喫煙以外の因子の関わりを強く示している。また日本においても一部の肺癌の発症に地域差がみられ、ウイルス関与の可能性は残されたままである。しかし、本邦におけるウイルスに関する研究報告は欧米に比べ、十分なデータが蓄積されているとは言えないのが現状である。 2008年にヒトに癌を惹起する第7番目の癌ウイルスとしてメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)が発表された。MCPyVは神経内分泌系細胞由来の癌である皮膚メルケル細胞癌(MCC)から分離されたが、最近、MCCと組織学的に近似する肺小細胞癌でも検出されることが報告され、世界中で議論が交わされている。しかしながら、本邦からの解析結果の報告は未だになく、わが国の肺癌におけるMCPyVの蔓延性については全く明らかにされていない。 そこで本研究では、呼吸器悪性腫瘍におけるMCPyVの関連性および感染実態について解析した。NSCLC 112例を対象とし、その内訳は46例の扁平上皮癌、31例の腺癌、32例の大細胞癌、3例の多形細胞癌であった。標準PCRと定量的リアルタイムPCRでMCPyVのゲノムの検出を試みた。異なるMCPyVゲノムの領域を標的にして3種類のプライマーを使用した。いずれか一つのプライマーでもウイルスDNAが陽性になった症例は、扁平上皮癌8例、腺癌10例、大細胞癌1例、多形細胞癌1例であった。またそのウイルスDNAのコピー数は0.0002から0.026の範囲にあった。このようにNSCLCの一部にMCPyVのゲノムが検出されることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「呼吸器悪性腫瘍における新規ヒト癌ウイルスであるMCPyVの関連性および感染実態について、本邦初の研究として明らかにする」ことを目的にしている。すでに非小細胞肺癌の一部にMCPyVが検出されることを見出し、肺癌とMCPyVの関係について、今後の研究に繋がるデータを得ることに成功した。 よって、本研究は当初の計画通りに進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
標準PCRと定量的リアルタイムPCRでウイルスDNAの存在が証明された症例をさらに詳細な解析に供する。ウイルスRNAの発現をRT-PCRで、また蛋白レベルでの発現をモノクローナル抗体を用いての免疫染色法で調べる。 また本研究で検出されたウイルスDNAの塩基配列を詳細に解析し、その配列に変異、欠損がないかを調べ、野生型MCPyVの塩基配列と違いがないかを明らかにする。欧米においてこれまでに分離されている株と本研究で同定されたウイルス株に相違がないかも比較検討することにより、本邦独自のウイルス株かどうかを明らかにし、MCPyVとその病原性および発癌機序の一端に迫る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、ウイルス遺伝子の定量検出システムの確立を含め、ウイルス検出のための試薬を中心に最低必要限の予算を計上したため、若干の繰越金が発生した。 次年度は、遺伝子検出関連試薬、蛋白発現解析用試薬、プラスティック器具などの物品費、および学術誌掲載のための費用などに予算の計上を予定している。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Presence of Merkel cell polyomavirus in Japanese cutaneous squamous cell carcinoma.2011
Author(s)
Murakami M, Imajoh M, Ikawa T, Nakajima N, Kamioka M, Nemoto Y, Ujihara T, Uchiyama J, Matsuzaki S, Sano S, Daibata M.
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Journal Title
J Clin Virol.
Volume: 50
Pages: 37-41
DOI
Peer Reviewed