2011 Fiscal Year Research-status Report
呼吸不全、肥満低換気症候群における急性増悪は低酸素化学感受性の低下が関与する
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23591158
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 薫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80228535)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80271203)
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30405378)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 低酸素 / 呼吸調節 / 呼吸不全 / 化学感受性 / 呼吸困難感 / 睡眠時無呼吸症候群 |
Research Abstract |
低酸素換気応答(HVR)は生体が低酸素状態に陥った際に動脈血ガスの恒常性を維持する重要な防御反応である。HVRは遺伝的要因が大きく関わっており、HVRが低いと致死的エピソードを招きやすいことが示唆されている。本研究では、低酸素化学感受性の評価を安全な臨床検査として確立し臨床応用することを第一の目的としている。そのために、Dejoursが提唱したwithdrawal test(WT法)に着目し、安全な臨床評価法としての確立と低酸素対策・低換気対策に役立てることを目指した。 本研究は、主研究【研究1】として慢性呼吸器疾患患者を対象とした臨床研究、補助研究【研究2】として呼吸調節機能の病態解析、経年的変化を解析する動物実験からなる。平成23年度には、【研究1】では、仮説1『呼吸不全(準呼吸不全)患者で、進行性に高炭酸ガス血症をきたす肺胞低換気患者の病態の本態は低酸素化学感受性の低下にある。』を検証するために、WT法を施行するための、安全かつ簡便な呼吸回路の作成とそれを用いた予備検査を行った。同時に、検査法・解析方法の自動化を含めた工夫を行い、当大学医の倫理委員会での承認をえた。その上で、被検者(健常者および呼吸器疾患患者)の登録を開始した。また、仮説2『肥満低換気症候群(OHS)においては、OHSと診断しえない通常の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と比較して、代謝量に見合う低酸素化学感受性の亢進を認めないことが病態の本態である。』の検証を行うために、SAS/OHS患者のHVRおよび高炭酸ガス換気応答(HCVR)について、BMI、呼吸機能、PSG、動脈血ガス値、などとの関連を解析した。【研究2】としては、マウスを用いボディプレチスモチャンバーを使用し、呼吸不全の長期管理で問題となる、HVRおよびHCVRにおける加齢変化、経年変化を解析するための予備実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一の目的は【研究1】の遂行であり、低酸素化学感受性を臨床評価しうる安全な検査法を確立し、慢性呼吸器疾患患者の低酸素対策・低換気対策に役立てることである。そのために、平成23年度は、withdrawal test(WT法)を安全かつ有用な検査法として確立することを目指した。安全かつ簡便に検査が行えるような、呼吸回路を作成するとともに、検査法、評価法の確立にむけて、倫理委員会審査、予備実験、患者登録をスタートしたことから達成度は順調に進行している。また、OHS患者とOHSには至らない通常SAS患者との間で、低酸素および高炭酸ガスに対する換気応答(HVRおよびHCVR)の違いが、OHSの基本病態にいかに関わっているかについての解析も進めた。 なお、マウスを用いた補助研究【研究2】に関しては、低酸素環境曝露に対するHIF-1等の転写活性の働きを同時に追求することは重要ではあるものの、本研究の動物実験としては、主研究の遂行を第一と考え、主研究(臨床研究)の臨床的意義について、考察、意味づけを行える内容に一部変更する方針とした。そのために、主研究の解釈により有益である動物実験として、HVRおよびHCVRにおける加齢変化、経年変化の影響を中心に解析することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、【研究1】における、呼吸不全・準呼吸不全患者をふくむ、慢性呼吸器疾患患者を対象に、低酸素化学感受性をWT法にて経時的に追跡することである。そのために患者登録を進める。登録患者について、低酸素化学感受性と、臨床的増悪の程度・頻度、呼吸困難感・QOLの評価、動脈血ガス分析値、体重をはじめとする筋蛋白量・脂肪量・骨塩量等の栄養評価、呼吸機能検査、睡眠時呼吸異常の評価、などとの関連について解析を進める方針である。 なお、【研究2】に関しては、一部、研究計画の変更を行う。低酸素環境曝露に対するHIF-1等の転写活性の働きを同時に追求することは重要ではあるものの、本研究の動物実験としては、主研究の遂行を第一と考え、主研究(臨床研究)の臨床的意義について、考察、意味づけを行える内容に一部変更する。その対応策として、主研究の解釈により有益である動物実験として、HVRおよびHCVRにおける加齢変化、経年変化の影響について取り組む方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【研究1】においては、呼吸不全・準呼吸不全患者の登録を円滑にし、患者への検査内容の説明、呼吸困難感・QOLの評価を円滑に行うための情報端末の購入が必要となる。また、栄養評価のための炎症性サイトカイン、各種ホルモン・ペプチド、骨代謝関連の測定のためのELISA試薬・抗体等の購入が必要となる。【研究2】に関しては、HVRおよびHCVRを施行するための、マウス費用、吸入ガス費用、ボディプレチスモグラフチャンバー管理費用等が必要となる。
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Research Products
(1 results)