2012 Fiscal Year Research-status Report
PAR-2制御によるIPF急性増悪新規治療法の探究
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23591159
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 朋子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10400342)
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Keywords | 肺線維症急性増悪 |
Research Abstract |
本実験の目的は、特発性肺線維症(IPF)の急性増悪のメカニズムを追求し、肺保護作用があると考えられるPAR-2レセプターをターゲットとしたIPF急性増悪の新規治療法を探求することである。 H24年度の研究実施計画ではH23年度の細胞レベルでPAR-2の実験をうけて、肺組織におけるPAR-2の役割を検証する予定であった。しかしH23年度からの細胞レベルでPAR-2の実験が長引きH24年度に引き続き細胞レベルでのPAR-2の役割について検討を重ねた。 PAR-2の機能的発現が確認されたヒト肺線維芽細胞において、PAR-2の活性化がalpha-smooth muscle actinのみならずtransforming growth factor-beta1の合成を促進することが確認された。 肺上皮細胞では引き続きEMTに着目し上皮細胞の線維化のメカニズムを検討した。PAR-2 activated peptideやトリプシンといったPAR-2アゴニストによりE-cadherinが減少すると同時にvimentinが増加してくることを確認できた。 上記の実験結果は、肺線維症における線維化のメカニズムに、PAR-2がtransforming growth factor-beta1の合成や肺上皮細胞のEMTなどを介して関与することを示唆するものである。上記の現象がPAR-2のアンタゴニストで で抑制されるかを検討するためPAR-2 blocking peptideを用い、肺線維芽細胞、肺上皮細胞でブロック実験を行いサンプルを回収している。今後このサンプルを用い上記の現象が抑えられているかを検討する予定である。また特に肺上皮細胞のEMTのメカニズムについてはFoxm1という転写因子の関与を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H24年度は肺組織におけるPAR-2の役割を検討する予定であったが、H23年度に引き続き細胞レベルでの実験に終始した。遅れの原因の理由は、1.transforming growth factor-beta1のアッセイを確立するまでに時間を要した、2.PAR-2 blocking peptideのデザイン、作成に時間を要した、これら2点に集約される。 上記1.に関しては安定性のよいキットを購入できたため解決、2.についても文献を参考にしPAR-2の機能を抑制するpeptideを確保することができたため、実験を継続して行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の研究実施計画ではH23年度の細胞レベルでのPAR-2の役割の検討を受けて肺組織でPAR-2の役割を実験する予定であったが、上記のような理由でまだ予定のすべての 実験は終了していない。 今後はH23,24年度に行った実験の結果について、すでに回収している阻害実験のサンプルを用い肺線維芽細胞また肺上皮細胞におけるPAR-2の役割を立証する予定である。 そのためさらにTGF-β1測定キットの購入、EMT発現を確認するための各種抗体の購入、またメカニズム検討に用いる転写因子の抗体購入が必要となる。 H25年度は論文化の予定であったが、その前に肺組織におけるPAR-2の役割の検討を肺線維症肺の免疫染色、BAL液のバイオマーカーの検索を中心に施行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の計画修正を受けて、下記のものを購入する。 これまでの積み残し分:TGF-β1測定キット、EMTに関する各種抗体、FOXM1転写因子抗体の購入、ヒトBAL検体の各種バイオマーカーのELISAによる測定
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Research Products
(1 results)