2011 Fiscal Year Research-status Report
宇宙環境における有害性評価システムの開発 ー月粉じんー
Project/Area Number |
23591172
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森本 泰夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 悦史 産業医科大学, 医学部, 講師 (10299604)
堀江 祐範 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (30514591)
神原 辰徳 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 産業医学修練医(後期課程) (50596450)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | レゴリス / 気管内注入 / CINC / 肺 / 好中球 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究の目的は、月レゴリスの生体影響を評価するために、月粉じんsimulantを用いて、気管内注入試験を行い、月疑似粉じんの肺炎症能の評価し、月レゴリスの有害性を予測する。【方法と結果】 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と清水建設によって共同開発された月粉じんsimulant(FJS-1)を用いた。月粉じんsimulantを液相沈降法にて吸入性粉じんに相当する空気力学的直径10μm以下に分級した。分級した月粉じんsimulant 1mg、2mgをそれぞれ生理食塩水0.4mlに懸濁しWistar系雄性ラット(9週齢)の気管内へ単回注入した。対照群には生理食塩水0.4mlのみを注入した。単回気管内注入後3日、1週の観察期間をあけて解剖を行い、血液および右肺の気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid (BALF)、左肺の病理組織について評価を行った。BALFにおいて好中球のケモカイン(cytokine-induced neutrophil chemoattractant (CINC))を測定した。血液中の細胞分画で、白血球数は各群とも有意な差は認められなかったが、好中球数は月粉じんsimulant 2mg注入群の1週で有意な上昇を認めた。またBALF中の総細胞数に関しては、月粉じんsimulant 1mg注入群、2mg注入群は、対照群より有意な差は認めなかったが、BALF中の好中球数は1mg注入群、2mg注入群とも観察期間をとおして、対照群と比較し有意な上昇を示した。また、BALFにおける肺胞マクロファージは、1mg注入群、2mg注入群とも3日後から月粉じんsimulantの貪食像を認め、1週間後では貪食細胞の割合は減少傾向を示した。また、BALFにおけるCINC濃度は、1mg注入群、2mg注入群とも有意な上昇を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由:月粉じんsimulant(1G)の気管内注入試験は、当初の予定通り行っており、急性期における肺障害結果も示している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、月粉じんsimulant(1G)の気管内注入試験の慢性期における肺障害評価、月粉じんsimulant(1/6G)試験を行い、急性期における肺障害の評価である。In vitro試験でも細胞毒性の検討を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
気管内注入試験やin vitro試験に用いる消耗品などの物品費を中心として使用することを計画している。
|