2012 Fiscal Year Research-status Report
宇宙環境における有害性評価システムの開発 ー月粉じんー
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23591172
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森本 泰夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 悦史 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 准教授 (10299604)
堀江 祐範 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (30514591)
神原 辰徳 産業医科大学, 三菱化学株式会社, 非常勤助教 (50596450)
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Keywords | レゴリス / 気管内注入 / CINC / 肺 / 好中球 |
Research Abstract |
【研究目的】月粉じんsimulantを用いて、気管内注入試験を行い、月疑似粉じんの肺炎症能の評価し、月レゴリスの有害性を予測する。 【方法と結果】 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と清水建設によって共同開発された月粉じんsimulantの吸入性粉じん(空気力学的直径10μm以下に分級)を1mg、2mgをそれぞれ生理食塩水0.4mlに懸濁しWistar系雄性ラット(9週齢)の気管内へ単回注入した。対照群には生理食塩水0.4mlのみを注入した。初年度は、注入後3日、1週間後を評価したが、本年度は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の観察期間において右肺の気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid (BALF)について評価を行った。BALFにおいて好中球のケモカイン(cytokine-induced neutrophil chemoattractant (CINC))を測定した。BALF中の総細胞数に関しては、月粉じんsimulant 1mg注入群、2mg注入群は、対照群より有意な差は認めなかったが、BALF中の好中球数は2mg注入群では、観察期間をとおして、対照群と比較し有意な上昇を示し、1mg注入群でも1ヶ月後に有意な増加を示した。また、BALFにおける肺胞マクロファージは、月粉じんsimulantの貪食像を認めるも、貪食細胞の割合は減少傾向を示した。BALFにおけるCINC-1濃度は、2mg注入群で6ヶ月後に有意な増加を示した。BALFのミエロペルオキシダーゼ(MPO)濃度は、2mg注入群で3ヶ月、6ヶ月後に有意な増加を示した。水比法により1/6沈降速度の粒子を回収し、月の1/6重力を想定した吸入粒子とし、同様に1mg、2mgをそれぞれ生理食塩水0.4mlに懸濁しWistar系雄性ラット(9週齢)の気管内へ単回注入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
月粉じんsimulant(1G)の気管内注入試験は、当初の予定通り行っており、慢性期における肺障害結果も示した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、月粉じんsimulant(1/6G)試験を行い、急性期から慢性期における肺障害の評価である。状況に応じてIn vitro試験でも細胞毒性の検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
気管内注入試験やin vitro試験に用いる消耗品などの物品費を中心として使用することを計画している。
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