2013 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙環境における有害性評価システムの開発 ー月粉じんー
Project/Area Number |
23591172
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森本 泰夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 悦史 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10299604)
堀江 祐範 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (30514591)
神原 辰徳 産業医科大学, 産業生態科学研究所, その他 (50596450)
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Keywords | レゴリス / 気管内注入 / CINC / 肺 / 好中球 |
Research Abstract |
【研究目的】 月の重力を想定し作成した月粉じんsimulantを用いて、気管内注入試験を行い、月疑似粉じんの肺炎症能の評価し、月レゴリスの有害性を予測する。 【方法と結果】 月粉じんsimulantの吸入性粉じんを液中分離して1/6重力に対応したサイズの粒子(24.5m以下)を回収した。この1/6G月粉じんsimulant を1mg、2mgをそれぞれ生理食塩水0.4mlに懸濁しWistar系雄性ラット(9週齢)の気管内へ単回注入した。対照群には生理食塩水0.4mlのみを注入した。注入後3日、1週間後、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の観察期間において右肺の気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid (BALF)について評価を行った。BALFにおいて好中球のケモカイン(cytokine-induced neutrophil chemoattractant (CINC))を測定した。BALF中の総細胞数に関しては、1/6G月粉じんsimulantの注入群は、対照群より有意な差は認めなかったが、BALF中の好中球数は、3日から6ヶ月まで、対照群と比較し有意な上昇を示した。経時的には、3日に好中球数が高く、その後低下したが、6ヶ月後にまた増加した。BALFの好酸球数は、3日の2mg注入群で有意な増加を認めた。リンパ球数も2mg注入群で、3日から1ヶ月まで有意な増加を認めた。また、BALFにおける肺胞マクロファージ数は、各群とも有意な増加を認めなかった。BALFにおけるCINC-1濃度は、2mg注入群で3日から1ヶ月まで、1mg注入群では3日から1週間に有意な増加を示した。BALFの好中球数とCINC-1濃度は、おおむね類似の発現パターンを示し、以上より、月重力を想定した月粉じんは、軽度の炎症能をもつことが示唆された。
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