2011 Fiscal Year Research-status Report
ポドサイト傷害によるボウマン嚢上皮細胞の変調作用の機構解明
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23591176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 聡 北海道大学, 大学病院, 講師 (70312345)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腎臓学 / ネフローゼ症候群 / 巣状分節性糸球体硬化症 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高度蛋白尿、腎機能障害にともなって生ずる臓側糸球体上皮細胞(ポドサイト)傷害によるボウマン嚢上皮細胞(parietal epithelial cell、PEC)の変調作用について分子レベルの解析を施行する事である。ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症をはじめとする各種糸球体腎疾患の進展過程において最も重要な因子といわれてきたポドサイト傷害に伴う活性化PECの出現機転とその細胞運命を解明し、喪失ポドサイト補填を目的とした形質制御の可能性を探る試みを行っている。現在まで我々は、巣状糸球体硬化症(Focal segmental glomerulosclerosis, FSGS)マウスモデルにおいて、ポドサイト傷害 (足突起癒合、マーカー蛋白発現性の低下)が一定の度合いまで進行した時点で、CD44陽性活性化PECが効率に出現しはじめ、同細胞の増殖、遊走が促され得る事象を確認している。CD44は、オステオポンチン-ヒアルロン酸のリガンドやマクロファージ遊走阻止因子シグナル伝達のco-receptorとして作用しインテグリンの分子群を含む分子群の再構成に重要な役割を果たす事が知られる事から、障害ポドサイトと活性化PEC間のクロストークにはこれらのサイトカイン、細胞接着因子群が関与している可能性が高い。また我々は、従来のFSGSモデルに対し2種目の薬剤による刺激 (2nd hit)を加え、短時間に急激なポドサイト傷害、PEC活性化を引き起こし得る事を見出した。2nd hit後24時間以内にPEC形態変化、CD44新規発現がみられ、既存のポドサイト脆弱性がPECの急激な活性化に重要な因子である事が示唆された。以上の知見は、PEC活性化が、これまで様々な糸球体腎症においてキー因子として着目されてきたポドサイト傷害と密接に関連する事象である事を示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FSGSモデルマウスを用いた実験系に関しては、ポドサイトへの2nd hitによる障害を加える事により、PECの急速な形態変化がきたされ得る事が明らかになった。本結果によりこれまでに報告されてはいない新たな知見が見出される可能性が示唆され、本実験系を用いる事によって活性化PECの出現機序、細胞運命の追跡に関する研究、傷害ポドサイトとのクロストークに必要な因子の解析研究が進展し得ると考えている。さらに、in vitro (培養系)による解析を行うため、培養ポドサイト、PEC系の確立、その細胞間クロストーク観察のための実験系確立を試みているが、形質発現などの点から該当固有細胞の特徴を十分に反映するものが確立されるためにはさらに時間を要する。本プロジェクト研究を発展させるための重要な課題として、in vitro実験系の確立にも重点をおき研究を進行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルを用いたプロジェクトに関しては、2nd hitモデルを中心に、活性化PECの出現機転、形質確認、細胞運命の追跡を行う。また、分離糸球体を用いPEC活性化の機転に重要な分子群 (サイトカイン、細胞接着因子群)を網羅的に抽出、同定していく。傷害ポドサイトと活性化PEC間のクロストークに働く分子群については、さらに培養系 (ポドサイト、PEC)を用いた研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、主に動物実験、細胞培養、分子生化学的実験に必要な試薬、他の試薬類、物品をはじめとする消耗品購入に充てられる。動物実験については、動物の購入、飼料費、細胞培養については、培養用メディウム類、プラスチック物品類 (フラスコ)、他に、抗体類、マイクロアレイ用消耗品を購入する目的で研究費を使用する。また、平成23年3月購入の消耗品の支払いを、平成24年度に行う。
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Research Products
(2 results)