2011 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症の発症に関わるマイクロRNAの同定とその機能解析
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23591177
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤田 浩樹 秋田大学, 医学部, 講師 (30333933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 祐一郎 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60283610)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / マイクロRNA |
Research Abstract |
マイクロRNA (miRNA) は、18~25塩基長の小さな一本鎖RNAであり、それ自身はタンパク質をコードしないノンコーディングRNAである。miRNAの標的はmiRNA自身と塩基配列相補性を示すmessenger RNA (mRNA)であり、その分解を導くか、またはタンパクへの翻訳を阻害することにより、標的遺伝子の発現を抑制するように働いているものと考えられている。糖尿病性腎症(以下、腎症)の病態におけるmiRNAの役割について解明するため、我々は始めに腎症への感受性の異なる2種類のAkita糖尿病マウスC57BL/6-AkitaとKK/Ta-Akitaの腎から糸球体を単離し、抽出したRNAを用いてマイクロアレイ解析を行った。これら2種類のAkita糖尿病マウスはともに4週齢頃より400~600mg/dlの高血糖状態となるが、C57BL/6-Akitaは腎症の発症に比較的抵抗性を示す一方で、KK/Ta-Akitaは進行性の腎症を発症する。我々はすでにこの腎症への感受性の違いの原因の一つがSuperoxide dismutase(SOD)を中心とした抗酸化的防御機構にあり、KK/Ta-Akitaの腎ではSODの働きが著しく低下して酸化ストレスが増大していることを報告している(JASN 209)。マイクロアレイ解析の結果、miR-302b、miR-376b、miR-669b、miR-669k、miR-290、miR-302c、miR-377、miR-465cのmiRNA群の発現増加がKK/Ta-Akitaの腎で観察された。これらのmiRNA群がSODを標的としていることを間接的に示す報告が最近なされており、合わせて考えると今回明らかにしたこれらのmiRNA群の発現増加は腎でのSODの発現を抑制することで酸化ストレスを増大させ、腎障害を進めている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、糖尿病性腎症(以下、腎症)への感受性の異なる2種類のAkita糖尿病マウスC57BL/6-AkitaとKK/Ta-Akitaの腎から単離した糸球体のRNAを用いてマイクロアレイ解析を行い、両者で発現に違いのみられるmiRNAを同定するところまでは順調に終了した。今後はこれらのmiRNAの機能解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、糖尿病性腎症(以下、腎症)への感受性の異なる2種類のAkita糖尿病マウスC57BL/6-AkitaとKK/Ta-Akitaの腎から単離した糸球体のRNAを用いてマイクロアレイ解析を行い、両者で発現に違いのみられるmiRNAを同定するところまでは順調に終了した。今後はこれらのmiRNAの機能解析を行っていく予定である。特に、進行性の腎症を発症するKK/Ta-Akitaで発現の上昇がみられたmiRNA群のうち、抗酸化酵素の発現の制御調節に関わる可能性があるmiR-302b、miR-376b、miR-669b、miR-669k、miR-290、miR-302c、miR-377、miR-465cについては、腎症に抵抗性を示すC57BL/6-Akitaに導入することで腎症の進行および悪化がみられるのかそれぞれ一つずつ検証していく必要がある。この研究を推進するためには、マウスの購入および維持管理のための費用、遺伝子導入に用いる試薬購入の費用など研究費が必要であり、次年度使用額が生じるに至った。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
miRNAの機能解析を進めるため、次年度に請求する研究費は、実験動物購入費、実験動物維持管理費、実験試薬購入費および成果発表のための旅費として使用させていただく予定である。
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