2011 Fiscal Year Research-status Report
老化が慢性腎臓病の発症・進展に及ぼす影響と機序の解明
Project/Area Number |
23591182
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
浜野 有記 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90396680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 真 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50241956)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 老化 / 18型コラーゲン / エンドスタチン / p53 |
Research Abstract |
6週令および20週令の野生型マウス(各群4~5匹)において、加齢に伴う変化を血清・尿・腎組織(光学・電子・蛍光顕微鏡による解析)を用いて以下の点より検討した。免疫染色法・リアルPCR法・ELISA法にて解析可能であった(1)腎機能(2)糸球体硬化を含めた糸球体変化(3)TGF-βや細胞外基質の発現変化や間質線維化(4)基底膜肥厚の有無(5)スリット膜構成分子の異常(6)マクロファージやリンパ球の浸潤度(7)糸球体・間質領域におけるそれぞれの血管密度やVEGFの発現度(8)18型コラーゲン/エンドスタチンの発現度(9)p53およびp21の発現度(10)TNF-αなどの炎症性サイトカインの発現度は、両者において有意差は認められなかった。 次に半月体形成性糸球体腎炎(加速型馬杉腎炎)・アリストロキア酸腎症・I型糖尿病性腎症のマウスモデルを6週令および20週令の野生型マウスのそれぞれに誘導した後、加齢に伴う急性および慢性腎障害の発症・進展度を両者で比較検討した。しかしながら、今回誘導したマウスモデルでは年齢変化に伴う腎障害の違いは認められなかった。 アルポート症候群のモデルマウスでは、これまで報告されているように加齢に伴い腎障害の進行を認めた。6週令に比べて20週令のマウスにおいて、蛋白尿や腎機能の悪化がみられ、糸球体細胞外基質の増加に伴う糸球体硬化・糸球体基底膜の肥厚・尿細管障害・間質線維化・炎症性細胞の浸潤の増加・糸球体間質の血管密度の低下を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎臓細胞老化の機序解明のために細胞培養の実験を予定していたが、未だ結果が得られていない。 その理由として、マウス腎臓より腎構成細胞の抽出・分離・初代培養を試みたが、実験に用いることができる十分な細胞数を得ることが出来なかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、p53および18型コラーゲン/エンドスタチン欠損マウスを用いて、老化におけるp53および18型コラーゲン/エンドスタチンの役割、p53および18型コラーゲン/エンドスタチンの腎臓病の発症・進展における役割を分子生物学的に検討する。p53および18型コラーゲン/エンドスタチン欠損マウスに半月体形成性糸球体腎炎(加速型馬杉腎炎)・アリストロキア酸腎症・I型糖尿病性腎症のマウスモデルを誘導した際の腎障害や老化細胞特異的βガラクトシダーゼの発現を検討することにより、p53および18型コラーゲン/エンドスタチンの老化や急性・慢性腎障害への影響を明らかにする。 p53および18型コラーゲン/エンドスタチン欠損マウスにおいて野生型マウスと異なる腎障害がみられた際には、薬剤を用いてp53を活性化または不活性化させる実験を追加したり、18型コラーゲン/エンドスタチン欠損マウスに対してエンドスタチンを補充する実験を追加する。前者の検討から、p53の量的変化のみならず質的な変化が老化や腎不全に与える影響も検討する。後者の検討から、18型コラーゲン・18型コラーゲンから遊離したエンドスタチンのどちらが腎障害の進展や未成熟細胞老化に関与しているのかを明らかにすることができる。 細胞培養の実験に関して、引き続き腎構成細胞の抽出・分離・初代培養を試みるとともに、すでに樹立された腎臓細胞株に遺伝子導入やRNA干渉の手法を用いることにより、細胞老化の機序解明を行なう。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
簡便に微量のDNA・RNA・蛋白濃度を測定するために超微量分光光度計を購入する予定である。
|