2012 Fiscal Year Research-status Report
全ゲノム解析による家族性IgA腎症の原因遺伝子の探索
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23591185
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
後藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 講師 (00463969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
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Keywords | 家族性IgA腎症 / 全ゲノム連鎖解析 / エクソーム解析 / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
IgA腎症の発症機序に関する多くの研究により、IgA1分子のヒンジ部糖鎖不全の関与など、徐々に明らかにされている点はあるが、その詳細は不明である。一方、IgA腎症には家族内集積が認められ、発症には遺伝要因が関与していると考えられる。遺伝要因の関与が 強いと考えられる家族性IgA腎症のゲノム解析により、リスク遺伝子が同定され、IgA腎症の疾患パスウェイが明らかになる可能性がある。腎生検でIgA腎症と確定診断された症例が4名存在する1家系(11名の末梢血からDNAを抽出)を対象とした。ゲノムワイドSNPアレイ によりSNPタイピングを行い、SNP HitLinkを用いて全ゲノム領域の連鎖解析を行った。パラメトリック解析では、LODスコア>1.0を示す複数の領域が検出された。エクソーム解析はIgA腎症4名を含む8名を対象とした。ゲノムから全エクソン領域を濃縮し、次世代シーケンサーを用いて全エクソン領域の塩基配列を決定した。得られた配列情報からフィルタリングを行った。アミノ酸置換を伴い、1000genomeプロジェクトで頻度が1%以下のvariantを選別し、さらに罹患者にのみ認められる12 variantをIgA腎症の発症に関連する候補遺伝子変異とした。さらに連鎖解析での高LOD領域や、疾患遺伝子検索プログラムを用いて候補遺伝子を絞り込んだ。しかし、得られた候補遺伝子について、他の家系の症例においては現在までに変異が認められていない。さらに多数の家系のエクソーム解析を行うことで遺伝学的アプローチから家族性IgA腎症の発症に関わる効果サイズの大きいリスク遺伝子が同定され、IgA腎症の発症メカニズムの解明につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では家族性IgA腎症の原因遺伝子を同定することを目標にしているが、平成23年度から平成24年度にかけて比較的規模の大きい1家系を対象としてエクソーム解析を行い、候補遺伝子を得ることができた。現在、他の家系および孤発例において、候補遺伝子の変異スクリーニングを行っている。また候補遺伝子の機能解析を行い、解析データがまとまれば論文として発表する予定である。家族性IgA腎症は遺伝的に異質性があり、家系により遺伝背景が異なることから複数の原因遺伝子が存在すると考えられる。本研究によりその中の一部を明らかにすることができると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も家族性IgA腎症のゲノム解析を継続する。当大学では家族性IgA腎症の検体について、すでに15家系以上を有しているが、引き続き新潟県内外、全国の腎臓内科から家族性IgA腎症の検体を供与いただき、リソースの拡充を図る。そして平成25年度ではさらに二家系のエクソーム解析を追加する。これにより昨年度までに得られた候補遺伝子リストと合わせて、共通する候補遺伝子を検索し、原因遺伝子を絞り込む。また孤発性IgA腎症でも候補遺伝子の変異スクリーニングを行い、孤発例においてrare variantが関与しているか検証する。家族性IgA腎症は遺伝的異質性あり、遺伝背景が異なることから複数の原因遺伝子が存在すると考えられるが、家族性および孤発例の解析を通じて遺伝学的な検証を進める。さらに候補遺伝子の野生型と変異体を培養細胞へ導入して機能解析を行い、生物学的な面からも家族性IgA腎症の原因遺伝子を絞り込む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、まず平成23~24年度のエクソーム解析で得られた候補遺伝子について、他の家系や孤発性IgA腎症症例での変異スクリーニングを行うためにシークエンス解析費用が見込まれる。次世代シークエンサーを用いて同時に多数例を解析する。また候補遺伝子の機能解析を進めるため、候補遺伝子のクローニングや変異導入、培養細胞での機能解析などの実験に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)